ペンリレー
上手に空を飛ぶ方法と上手に絵を描く方法
秋田厚生医療センター 佐々木 万里菜

初めまして、秋田厚生医療センター1年目研修医の佐々木万里菜と申します。この度は同期の有阪先生から執筆のバトンを頂きました。ありがとうございます。
私は幼い頃から「何かをつくること」が好きでした。家中の空き箱を使って工作をしたり、テディベアを縫ったり、お菓子を焼いたり、お話を考えて絵本を描いたり。夜、布団の中で次の創作物のことを考えながら眠ることに幸せを感じます。毎日そうして想像力を働かせながら寝ているせいかわかりませんが、夢の中で空を飛ぶことが得意です。コツは飛んだ先の景色を想像しながら自分は飛べるのだと強く信じること。いきなり地平から飛ぶのが難しい場合は、高いところから飛び降りていったん滑空するか、ベッドなどがその場にあればトランポリン代わりにして高く飛び、浮いてみるのがおすすめです。
歳を重ね日々が慌ただしくなる中で、今も続いている創作活動が絵を描くことです。毎年、秋田県医師会主催の医家美術展に油彩画を出品させていただいております。中高生の頃と比べると想像力がなくなり、自分の絵を見ながら独創性に欠けると感じてがっかりすることが多い一方、技術や知識を積み重ねて新しい価値を生み出せないか試行錯誤しています。その過程がまたとても楽しいです。
絵を描くことと同じか、それ以上に誰かが描いた絵を見ることが好きです。人間が描いた絵は、その人が見た本当の景色や想像、感情が反映されると考えます。それは写真以上の真実でしょう。同じものを見ていても同じようには見えていないし、他人と視界を共有することは決してできません。私にとってはそれを知る術が絵を見ることであり、コミュニケーションのひとつです。
さて、上手な絵を描くことは難しいですが、上手に絵を描く方法はあります。よく見ること、この一択です。先入観を捨ててよく観察し、ありのままに描くことが大事だと考えます。たとえば人の顔を描くと、自分の顔に似てしまうことがあります。最も見慣れた顔であり、「人の顔ならこうだろう」という無意識が働くためです。顔ではなく、ただの形として線を置くと良いと思います。色をつけるときも同じです。人の肌なら肌色だろう、葉っぱなら緑だろうと思って塗ると上手くいかないことがあります。当たっている光自体の色や、近くにあるものが反射した色が影響して元の色ではなくなっているのです。ひとつ基準となる色を決め、隣り合う色が明るいか暗いか、赤いか青いか、鮮やかか濁っているかといった比較を重ねながら塗っていくと、先入観に惑わされずに済みます。面倒くさいし難しそう、と思った方もおられるのではないでしょうか。その通りです。ここまで書いておいてなんですが、絵を上手く描く必要がない時なら全て無視して自由に描いていいし、ぜひそうしてほしいと思います。その人が青だと思えば青だし、そこに耳があるならそこに生えているのです。もっと上手に伝えたい、表現したいと思った時になったらぜひ試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。次回は研修同期の小澤海先生にお願いしたいと思います。今後ともよろしくお願いします。