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健康診断の事後措置
1)健康診断の種類   2)健康診断結果の読み方
職場における健康診断の事後措置の目的と意識
1) 健康診断は、事後措置を行ってはじめて、その価値が生じる。
2) 事後措置を行わない健康診断のことを「やりっぱなし健診」と称するが、このやりっぱなし診断は、健康診断を行わないことより、むしろ 弊害がある。
3) 事後措置を行わないと、場合によっては、事業者責任を問われることさえあり得る。
4) 事後措置は健康診断の有所見者が対象になる。
有所見者の分類と対応
1) 初めてその項目が有所見となった者。
      →「精密検査」が原則。紹介状を持たせて、結果を文章で受け取る。
2) 過去の健康診断でその項目が有所見であったことがあるが、少なくとも前回は有所見でなかった者。
      →治療の状況を点検する。治療中断や効果が不十分の時は適切な医療機関への紹介。
        日常生活状況の点検。
3) 前回の健康診断から連続して有所見者の者。
      →有効な治療法のない疾病や治療効果の限界等の例が含まれるが、実際は未治療や治療内容が不適切な例が多い。
産業医の有所見者への対応
この段階での措置は・・・

   ■ 要観察
   ■ 要指導(要保健指導・要管理)
   ■ 要精密検査
   ■ 要治療
   ■ 治療継続

                
として整理する。
事業者は、この段階のデータに基づいて「健康診断結果報告書」を作成する。

産業医の精密検査結果への対応
1) 精密検査結果の説明。検査を受けた医療機関での説明の把握が重要。
2) 精密検査の結果に基づいて、「要治療」「要保健指導」「要観察」「特別な対応不要」に仕分ける。
就労区分についても、「通常勤務」「就業規則」「要休業」の意見を述べる。
しかし、決定には労働者の考えや希望の聴取が不可欠。
小規模事業所における就労区分決定時の留意事項
1) 不要な就業制限を行わない。
2) 小規模事業所では、情にながされ、正しい就業制限ができない危険性がある。
3) 病名等の個人情報が、広まりやすい。
4) 就労区分が、リストラや転勤等、他の目的で利用されやすい。
5) 職種や職場が限られているので、就業上の変更ができにくい。
6) 労働不足による早期職場復帰の無理をきたしやすい。
7) 就業制限の決定前に、労働の実態を十分に把握しておく必要がある。
8) 就業制限の決定前に、必ず労働者と面談して、就業規則や情報の開示について同意をとるのが望ましい。
9) 他の労働者に危険が及ぶ場合(例えば結核で排菌している)、労働者本人の利益よりも就業制限が優先される。
10) 守秘義務(プライバシーの保護)については、十分に配慮すること。
小規模事業所における就業上措置の具体例
  ■ 慢性C型肝炎+肝臓ガンの症例
 45歳、経理部門の次期部長のポストにある。38歳のとき、健診で肝障害を指摘され、要精査とされ医療機関を受診し、C型肝炎と診断さ れた。定期的受診はしなかった。
 2年前の健診後、産業医の指示で医療機関を受診したときに慢性C型肝炎+肝臓ガンと診断され入院した。
退院後は定期的に病院 に通院し、3ヶ月に1度、2週間程度の入院をしていた。今年の健診では右肺に異常陰影が発見され、精査の結果肺臓ガンの転移と判明した。
     
      → 医療区分「要治療」 就業区分「通常勤務」