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<春夏秋冬>

発行日2005/03/10
すずき眼科  鈴木 明子
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春よ来い!
 
 「こんな筈ではなかったのに!」来る日も来る日も絶え間なく降ってくる雪に途方に暮れながら、どんよりとした空を恨めしげに見上げている私です。この冬への入り口は、スタッドレスタイヤに替えるのを躊躇するほどの暖かな日々の連続でした。12月中旬に雪のない道を田沢湖までドライブしたのを覚えています。暖冬意識がしっかりと私を捕らえていたようです。この暖冬意識に裏打ちされた今回の豪雪は私のめげる気持ちに一層拍車をかけるのです。
 両眼の白内障手術をする患者さんは、必ず2回目の手術の時に「今回は痛かった。」と言います。一度目は「どんなに痛いだろう。」と心を硬くして手術に向かいます。そうするとさほど痛みを感じる事なく手術が終了するではありませんか。今度は「手術は何にも痛くなかった。」という意識が心を占拠して手術に臨みます。とはいえ手術なのですからチクッとする位のことが全くない訳ではありません。その結果「今回は痛かった。」となるのです。二度目の患者さんに私は「することは先回と一緒なんですけどね、何故か皆さん、二度目は痛いとおっしゃるんですよね。痛いかも知れませんよ。心しておいたほうが良いですよ。」と冗談めかして言うようにしています。そうすると手術が終わってから「痛かったでしょう?」と聞いたとき、決まって「何にも痛くなかった。」という返事が返ってきます。
 心の在りかたというのは面白いもので、痛いものも痛くなく、痛くないものも痛くして仕舞うようです。この豪雪もまたしかり。初雪も遅く、暖かな冬の入りに「秋田でもこんな冬があるんだわ。地球温暖化のせいかしら。」等とすっかり軟弱化していた私の心は、ここにきての豪雪に、耐える力をまったく失っていたのです。
 でも、ぼやいてばかりいても駐車場の雪は減りません。休診日も返上しての私の雪かきが始まりました。はじめて動かす除雪機に、轢かれたり、挟まれたりして除雪機にもて遊ばれていた私ですが、その扱い方も板につき、私の除雪姿を目に留めたタクシーの運転手さん(患者さん)に「先生、運転上手いね。俺より上手い。」と褒められる(?)程になりました。しかし図に乗っていると碌なことがありません。ある日の休診日、例によって除雪機を動かそうとするとガソリンがありません。入れたはいいのですが一向にガソリンメーターが動きません。おかしいぞとよく見たらエンジンオイルを入れる場所に入れているではありませんか。「車では横に給油口がある、ガソリンは横から。」という私の中での固定観念が招いた失敗でした。慌てて定位置にガソリンを入れなおし、その日の除雪業務は無事終了しました。その後で業者さんに電話をし、ことの次第を話したところ、この行為はエンジンに対して最も危険行為のレッドカードということが判明しました。「技術の者が行くまで、動かさないでください。もう絶対に動かしたら駄目ですよ。」ときつく叱られる有り様です。
 毎日の雪かきが少しでも楽になればと始めた善意の休日除雪だったのに、我が医院の雪かきは人力に次ぐ人力となり、職員に更なるストレスを与えるものとなりました。
 「機械も心ももう限界!春よ来い来い、早く来い!」です。
 
 春夏秋冬 <春よ来い!> から