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<春夏秋冬>

発行日2005/01/10
鹿嶋医院  鹿嶋 雄治
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新春に思う
 
あけましておめでとうございます。
 昨年は「ペンリレー」や「私のオススメ」、特集記事など医師会報の編集にご協力いただきありがとうございました。今年も編集員一同、会員の皆さんに医師会の情報を的確に伝えるとともに、楽しく読んでいただけるような会報をめざして取り組んでまいりますので、原稿依頼の際はさらなるご協力をお願いいたします。
 さて、昨年は台風や洪水、大地震などの災害が相次ぎ、自然の猛威を前に人間の力などひとたまりもないということをあらためて思い知らされた一年でした。また、「オレオレ詐欺」や陰湿、凄惨きわまる犯罪の多発、一方では「ヨン様」ブームでオバサン達が舞いあがっている様は、拝金主義、家庭や社会での人間関係の形成不全など、日本の病んだ社会が治療不可能な状況に陥っているということにたいする大きな警告として受け止めなければならないと思います。
 「ヨン様」といえば、ここ数年で患者さんがすっかり「患者様」になってしまいました。病院内だけの呼び方にとどまらず、研究会の症例報告では、演者が「この患者様は・・・で」などと平気でのたまい、果ては、手術で切除した臓器標本のスライドにまで「Y.K様」などと目印がついている始末です。「様」は本来、人間関係や商売上での「主客」が存在するときに用いられている言葉と思うのですが、これを医者と患者さんとの関係で使うとなると違和感を覚えざるをえません。ある雑誌によれば、この現象は2001年に厚生労働省が出したある通達の誤解から始まったという説があり、その記事の中でも、いわゆる「様」づけには識者のあいだでも否定的な意見が多いようです。いずれにせよ、手術で切り取った自分の胃袋やホルモンにまで「様」がついていたのではたまったものではありませんし、そのような病院で手術を受けることも躊躇するでしょう。私が手術を受けるような事態が発生した際は、臓物に「様」をつけるかどうか主治医に確認してからにしたいものです。
 新年から変な話になってしまいましたが、医療における今年の最大の問題は混合診療の行方だと思われます。医師のあいだでも、これを危機と考えるか好機と捉えるかは、それぞれの診療上の立場で異なることが表面化してきています。患者さんの治療の説明に家族が呼ばれ、「あなたのお父さんの命を救うためには、混合診療という制度があって、百万円明日までに準備できれば助かります」などど言われた日には、家族は即刻サラ金に走り…といった事態がいたるところで出現するであろうことを理解したうえでの議論を尽くして欲しいものです。
 混合診療が早々に実施されるか先送りになるのかは現時点でははっきりしませんが、ぜひ会員の皆さんもこの問題で会報に御投稿いただき、開業医、勤務医、各診療科それぞれの立場での本音を述べていただきたいと考えています。
 
 春夏秋冬 <新春に思う> から