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<春夏秋冬>

発行日2002/08/10
中通総合病院  松田 淳
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作文ノススメ
 
 この度、医師会報の編集委員をお引き受けすることになってしまいました。理由はすごく単純です。医師会からの頼みを断わりきれなかったという極めて情緒的な理由です。でも、他の編集委員の皆さんもほとんど同じような理由だったので、大笑いしました。そんな集まりなので、編集会議も楽しい雰囲気で開かれています。微力ながら頑張ってみようかなと思い始めている今日この頃です。
 さて、編集委員の最も重要な仕事は、なんといっても原稿を依頼し、書いていただくことです。校正もなにも、肝心の原稿が集まらなければ始まりません。書いてみようかなと思っていただける企画を考えること、一人でも多くの方々に書いていただくことが主な仕事と思います。書くことを楽しんでおられる会員も数多いと思いますが、中にはどうも苦手で、とおっしゃる方もおいでのことと推測致します。そこで、私のとっておきの「虎の巻」をご紹介しましょう。それは「日本語の作文技術」本多勝一著(朝日文庫)という本です。全部通読する必要はありません。最初の4章だけ、約百ページですが、これだけ読まれたら十分です。それだけで、なぜ作文が「技術」なのか、修飾する側とされる側をテーマに、わかりやすい文章にするにはどんな注意をすればいいか、句読点、特にテンの打ち方の原則はなにかなどが、それこそ「眼からウロコが落ちる」ようにわかってきます。
 この本には、さらに進んで無神経な文章、リズムと文体、書き出しをどうするかという章も設けられており、これらの章もうんと役にたちます。
 テンの打ち方なんて、と思われる方もおいででしょうが、例えばこんな例がでてきます。「A刑事は血まみれになって逃げる賊を追いかけた。」という文章があったとして①「A刑事は血まみれになって、逃げる賊を追いかけた。」と、②「A刑事は、血まみれになって逃げる賊を追いかけた。」とテンの打ち場所を変えると、①はA刑事が血まみれになっていますし、②では賊が血まみれですね。テンひとつで意味が全く異なってしまう!テンはかくも大きな役割を担っているのですね。もっとも、この文章も「血まみれになって逃げる賊をA刑事は追いかけた。」か、「血まみれになってA刑事は逃げる賊を追いかけた。」にすれば誤解されずに済むのですが。
 という訳で、文章を書く作業は確かに大変な面もありますが、「書く技術」を知ることで随分変わると思います。原稿依頼に際しては、時間のかかり方は個人差が大きいので、十分な時間的余裕を持ってお願いしたいと考えております。会報が手元に届くのを皆さんが楽しみにしていただけるように、できるだけの努力ば惜しまないつもりですので、よろしくお願い致します。「書く技術」を身につけて、一人でも多くの会員の皆様が投稿して下さることを期待しております。
 
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