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<春夏秋冬>

発行日2002/11/10
耳鼻咽喉科おのば能登医院  能登弘毅
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ある秋の一日
 
 唐突ですが、秋は暑くもなし寒くもなし子供連れで出かけるには最適な季節です。さらに近年の政府のハッピーマンデー構想のおかげで、連休が増え、土曜の診療が終わってからでも出かけることができるようになりました。さてそのような休日を利用して、東京都内に数年前にできた三鷹の森ジブリ美術館を家族で訪れて見ようということになりました。ここは古くは長編アニメ「未来少年コナン」、最近では「千と千尋の神隠し」の監督として知られる宮崎駿が主催する美術館です。宮崎駿のアニメは最近の子供にとどまらず、かつての子供にも少なからぬファンがおり、彼の作品を知らない人でもその名前は新聞やテレビなどで見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
 東京へは夜9時近くの寝台列車「あけぼの」で秋田を出発しました。じつは今回の旅行のもう一つの目的が寝台車に乗ることでした。飛行機があまり好きでない下の娘二人は発車前にお菓子やジュースをどっさり買い込み、いさんで乗りこみましたが「あけぼの」は予想以上に混み合っていてびっくりしていました。さらに、今回は個室だったのですがこれまた予想以上に狭く、車両も相当くたびれて音はうるさい揺ればひどいで、かつて30年ほど前に乗った広く楽チンな寝台車のイメージが、久しぶりの乗り物酔いと共に崩れ去ってしまいました。上の娘二人は寝台車を面白がっていましたが、末娘は結局、寝台車も飛行機同様お気に召さなかったようです。一方、自分はと言えば翌日の美術館の入場指定時間(この美術館は1日の総入場者数を制限しているので、あらかじめ入場日時を指定してチケットを購入するシステムになっています)が午前10時だったので、それを考えてアルコールを控えたのも失敗で、飲んで酔っ払っていたほうがまだマシだったと思ったのも後の祭りでした。ふらつく足元をひきずりホテルで荷物を預けてから近くで朝食をとり、いよいよ目的の美術館へ向かいました。指定時間より20分程早く着いたのですが、すでに20人ほどが並んでおり、その中に台湾あるいは香港系と思われる5、6人のグループも…。彼らはこんな所まで進出しているのかと感心してしまいました。館内の様子は他の雑誌などに譲りますが酒落た、こだわりのある作りで、美術館とは言えややテーマパークっぽくなってしまっているのは入場者がそのような期待をもって来ているからなのでしょう。とは言え末娘の一番のお気に入りは館内にある大きな「ねこバス」のぬいぐるみで、バスに乗りこんだまま出てこず、体験型美術館と考えればよく出来ていると思いました。
 館内にはカフェもあるのですが、ここでも東京名物の行列が出来ていたのにはうんざりさせられました。カフェを早々に諦めて、その隣にあるスタンドでジュースやアイスクリームを買って井の頭公園に突き出た形のデッキで休んでいると、そこが混み合うカフェより数段心地の良い場所であることがわかりました。本物の森の中で休んでいる様で、子供たちはさっそくどんぐり拾いで日を輝かせていました。
 結局、3時間ほどをここで過ごして緑の多い井の頭公園の一角から、再び込み合う電車で池袋へ出たのですが、好天の日曜の昼下がりは人、人、人で好対照をなしていました。
 子供たち曰く、また寝台車で東京へ行って今度は東京タワーへ行きたいとの事、さあどうしょう。
 
 春夏秋冬 <ある秋の一日> から