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<春夏秋冬>

発行日2022/03/10
いちかわ内科クリニック  市川 喜一
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禍を転じて福と為す
 
 2年続きの記録的大雪、「立春」と聞いても本当に?と言いたい寒さだったが、たまに顔を出す太陽の光はほんの少しずつしかし確実に春が近づいていることを気づかせてくれる。そして足元を見ると、つい先日まで雪・氷におおわれていた駐車場も少しずつアスファルトの範囲が広がり始めている。もうすぐ光まばゆい季節が来ると心なしか気持ちも軽くなってくる、はずだった。嗚呼それなのに! この原稿を書いている時点で我が家は緊急事態、妻が利き腕の右腕を怪我してしまったのである。そのため、日常動作(いわゆるADLです)に支障が出ている。いわんや炊事・洗濯をや。さてさてド素人(私です)のワンマン・オペレーション(世間でよく言うワンオペ)家事の始まり始まり、である。朝は5時起床、眠い目をこすってコメを研ぎ、慣れない炒め物、みそ汁、弁当のおかず作り。子供を送り出すとともに出勤し、医療従事者に変身。昼休みは患者家族として診察に付き添うことも。午後はまた医者の顔。診療終了とともにいそいそと帰宅して、途中で食材のお買い物。家に戻ったら夕食の準備、乾いた洗濯物の収納と新たな洗濯。食後は食器洗いと明日のメニューの検討、洗剤の補充、ゴミ出し曜日の確認など、きりがない。「名もなき家事」のなんとまあ多いことよ! そして、この超マルチタスクをこなしつつ、子供とコミュニケーションをとって育てている世の女性たちのスキルの高いこと! 処理スピードの追い付かない私の頭は湯気を出しつつ、家事をこなしている(つもりデス、はい)。
 かような日々ではあるが、それでもいろいろな「気づき」のが人間の面白い所。粉末のかつおだしは大体これくらい使えばこんな味、魚を焼くときは皮目から焼く、洗濯後のバスタオルはこう収納すると取り出しやすいネ、などなど。このままいくと家事男子ならぬ“家事おやじ”に目覚めそうな気配。世の中はまだまだ未知のもので溢れている。自分の仕事と全く関係のないものごとを行うことで、本業にも好影響が出るかも、という期待感もある。妻の怪我が完治しても、週1~2回は私に家事やらせてください、なんてお願いしているかも(笑)。仕事や炊事・洗濯にかかわらず、ものごとはいつもやっている人に代わりにやってみて、その大変さと面白さを理解してその人を思いやることが人の相互理解につながるかもしれない。その結果、より人間関係が良好となり、生活がスムーズになり、さらには自らのスキルも上がるのであれば、人生いろいろな困難に遭遇するのも案外悪くない。まさに「禍を転じて福と為す」でしょう。さて、またお掃除に戻ることとしますか。
 
 春夏秋冬 <禍を転じて福と為す> から