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<春夏秋冬>

発行日2021/05/10
東通り こどもとアレルギーのクリニック  小松 真紀
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新年度を迎えて
 
 インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスとの同時流行も懸念された冬も終わり新年度が始まった。例年にない大雪に見舞われ、クリニック駐車場への除雪車出動回数も多くなり日々雪山が高くなっていき一箇所では積みきれず、とうとう二つ目の山までできてしまった。今季はインフルエンザの発生は全国的にもとても少なく、胃腸炎などの冬に流行る感染症も目立ったものはなかったので、排雪をお願いしなくても駐車には困ることはなかった。どんなに多く降った雪でも時間が経てば自然にとけていき、暖かくなるのも早かったので積まれた雪はみるみるうちに小さくなっていった。
 新型コロナウイルス感染後にインフルエンザにかかったという芸能ニュースもあり、一時はどうなるものかと心配もしたが、そういうことが大きな問題になることはなかった。厚生労働省のインフルエンザ感染報告で秋田はゼロではなく、令和2年43週に2人と53週に1人の報告がなされているものの拡大はせず、実際に身の回りでインフルエンザを疑うような症例はいなかった。当然、検査の必要性もなく検査自体を行っていないので、本当にインフルエンザでないと言い切れないが、いなかったと信じている。インフルエンザの流行を防ぐためにインフルエンザワクチン接種に対して助成を行いながらワクチン接種を促したこともさることながら、感染予防対策が寄与したことは明らかである。緊急事態宣言が出され、県をまたいだ不要不急の移動を避け、大勢でのイベントの中止、飲食店の時短営業やマスク会食など「3密」を避ける行動変容などで新型コロナウイルス感染予防に対する行動が、結果的にはインフルエンザの流行阻止に効果的だった可能性は多分にあったと思われる。1回だけの事象にはたまたまということを考慮しないといけないが、これが真ならインフルエンザに対しては有効な手段を実証できたのかもしれない。しかし、それと引き換えにする経済的損失や人との関わりの希薄さなど代償も大きい。
 今シーズン流行しなかったインフルエンザは来年どうなるのだろう。インフルエンザワクチンはWHOが推奨する株を発表し、その情報と国内外の状況を分析し日本でのワクチン株が決定される。判断源となるウイルスはどこに潜んでいるのか。①北半球と南半球とで季節的な関係②夏でも発熱者に一定数存在③渡り鳥との共存④北極圏付近の寒冷地帯などが考えられているが、今季のインフルエンザの状況であれば①②には大きな影響を与えたのではないだろうか。
 新型コロナウイルスワクチン接種が、二点三点しながらもようやく動き始めた(この原稿執筆時の状況)。去年の今頃は敵がどういうものかもわからず「見つけて逃げる」ことが中心だった。単なるカゼでは済まないことも多く、暖かくなればウイルスの活性が低下したり、不顕性感染などで集団免疫が知らないうちに得られ自然に終息するような相手ではなさそうだ。1年が経ちワクチンという反撃手段で立ち向かおうとしている。誰にでもふり注ぐ日差しとまではいかず、十分な供給は今の所未知数だが、暖気で雪どけが一気に進むような効果を祈るばかりである。
 
 春夏秋冬 <新年度を迎えて> から