トップ会長挨拶医師会事業計画活動内容医師会報地域包括ケア介護保険について月間行事予定医療を考える集い学校保健関連

<春夏秋冬>

発行日2014/08/10
秋田赤十字病院  大嶋 厚志
リストに戻る
「もし医者でなかったら」、私の場合
 
 以前、秋田市医師会報で「もし医者でなかったら」の題名で特集があり興味深く読ませていただきました。さて自分の場合どうなったであろうかと思い考えてみました。
 もし医者でなかったら歴史家か考古学者になっていただろうか。
 小学生の頃に「まんが日本の歴史」全18巻をこづかいで月1巻ずつ買い求め読破した。中学生の頃は図書館にあった「20世紀の世界」全20巻を面白そうな順に借りてついに読破した。高校生の頃は図書館にあった松本清張作「昭和史発掘」全巻(今、手にはいるのは文春文庫版みたいだが、私の記憶ではこの時は単行本だったように思うが)を借りて読破した。NHKの大河ドラマは第2回「太閤記」(緒形拳主演)からみている。歴史に対する興味はかなり強かった。
 当初は父親が「物作りは良い。結果がでて分かりやすいしやりがいがある」というので高校では工学部をめざす予定で勉強していた。ところが高校1年生の頃、病気のため6ヶ月入院するはめとなり(当時の秋田赤十字病院)、当時研修に来ていた先生の世話になり医師という仕事を身近に感じたこと(ちなみにその先生は研修終了後、新潟大学へもどり私と同じ血液内科を専門にしており鹿児島の血液学会で再会したときに、先生は私のことを覚えていてくれ祝杯をあげ、ご馳走になったり、私が赤十字病院へ赴任後、先生が赴任していた千葉県柏市の病院で秋田出身の方が白血病を発症し、患者が故郷での治療を希望したため、紹介を受け私が担当したりと縁浅からぬものがありました)。当時、秋田大学医学部ができて地理的にも身近に感じたことなどから医学部を受験し合格したのでした。
 今、思うと果たして仕事として歴史方面を選んでいたら楽しかっただろうか。
 井沢元彦さんの「逆説の日本史」(小学館)に歴史学者が陥っている陥穽であるとして、通史を知らずに狭い専門分野だけを研究している点をあげている。もし歴史研究者の道を選んで学者にでもなっていたら論文の数が欲しくて狭い専門分野だけを研究していたかもしれない。今なら思う存分、日本史関係も世界史関係もどの時代の本も楽しく読めます。やはり医師になった今の方が良かったか…。
 最後におすすめの本を少々
「失敗の本質、日本軍の組織論的研究」(中公文庫)
大東亜戦争での6個の作戦での失敗の原因を研究し、現代の組織一般にとっての教訓とするもの。ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦までだけでやめておけば以降の失敗はない訳だが…。1991年8月初版発行から続く超ロングセラーで小生は2001年2月(19刷)、2009年3月(39刷)の2冊を買ってしまいました。(なんたるドジ)
「137億年の物語」(文藝春秋)
極めてユニークな本で、宇宙が始まってから現代までの究極の通史を1冊にまとめたものです。
「本能寺の変、431年目の真実」(文芸社文庫)
明智光秀の末裔が種々調べて真実を推理した、壮大な歴史捜査ドキュメントです。
 
 春夏秋冬 <「もし医者でなかったら」、私の場合> から