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<春夏秋冬>

発行日2013/11/10
並木クリニック  並木 龍一
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鍋の季節
 

 今年も早や鍋の季節となりました。鍋と言えば秋田では「きりたんぽ」、「塩汁」が定番ですが、全国にはご当地グルメと称した鍋が無数に存在します。北海道の「石狩鍋」、北陸地方の「カニすき鍋」、京都の「ハモ鍋」、「スッポン鍋」、下関の「フグちり」、博多の「モツ鍋」等、挙げたら切りがありません。自称「鍋奉行」の私は、全て食した事があります。鍋の定義は解りませんが、昆布、鰹などでベースのだし汁を取り、野菜や肉魚を入れ主役の食材を引き出させるのが基本です。野菜やきのこは脇役であり、決して主役には成れません。
 私が一番好きな鍋は「おでん」です。庶民の代表的な鍋ですが、他の鍋と違いがあると思います。なんと「おでん」には脇役がいないのです。言い換えればどの具材も主役なのです。おでん屋さんやコンビニでも、一具材ごとに区分けされて煮られている事がその証です。そこで、「おでん」に例えて私が理想とする「医療」を考えてみます。
 私は「医療」はチームで成り立つと思っています。命令指揮体制は必要ですが、受付さん、お掃除の方、看護師、助産師、医師、全てが同等と思っています。全ての部門においてプロフェッショナル、「主役」なのです。医師には受付もお掃除も出来ません。私が「おでん」で最初に食すのは「大根」です。何故なら「大根」はだし汁を一番沢山吸い、その歯応えから、その「おでん」の味、そして、どれ位手間暇を掛けたか解るからです。医師は「おでん」で言えば「大根」の役目だと思います。どれ位美味しい(満足が得られる)医療をやっているのか、どれ位、患者様に手間暇を掛けた(丁寧な)医療を提供しているのかが解るからです。これがまずかったらそのチームは台無しです。
他の具材、「ちくわ」、「玉子」、「はんぺん」等も全て「主役」であり、それがコメディカルスタッフなのです。つまり「医療」は全てチームで行われていて、各部所全てが「主役」なのです。ですから「医療」に脇役はいません。まさに庶民代表鍋「おでん」と思いませんか?
 ちなみに私は、おでん屋さんにはあまり行きません。何故なら私の妻が作る「おでん」が絶品だからです。(オノロケ?)かなりデカイ鍋に、一般的な具材に加え、牛筋、タコ串も入りだし汁を足して三日位は朝夕のご飯のおかずとして飽きません。
 全ての具材が主役の「おでん」は、鍋としては特殊とも言えますが、私としては「王道」だと思います。医療チームにおいて、どの部門においても「主役であれ」それはプレッシャーにもなりますが、私の理論の「おでん」の具材と思ってくれれば、納得出来るでしょう。
さて皆さん今晩は何鍋にしますか?


 
 春夏秋冬 <鍋の季節> から