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<春夏秋冬>

発行日2012/12/10
みなみ整形外科クリニック  三浦 由太
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小説を書く
 
 小さいころから擦過傷なら何度も受傷したことがあるが、作家賞を受賞したことは一度もない。数年前から何冊か本を自費出版してきたので、「日本自費出版文化賞」というのに応募した。そうしたら拙著『〔第2版〕改訂増補 町医者が書いた哲学の本』(丸善プラネット)が1次選考を通過した。2次選考で落ちたのだが、表彰式の案内が来たので、後学のために土曜日休診にして東京まで行ってきた。
 郷土史・自分史・小説・随想・詩歌・研究・写真集といった部門別に賞があり、さらに全体から大賞が選ばれる。1次選考通過作品は会場に展示されている。今年は第15回ということになるのだが、その大賞は河合 勝著『日本奇術演目事典』(日本奇術博物館)で、江戸時代の奇術種明かし集の古書を収集して整理記録したもので、非常に分厚い本だった。
 会場に展示された本を一渡り見た印象では、入選作と落選作とでは、装丁の違いも大きいように感じた。入選作の表紙は挿絵画家に依頼したような絵が使ってあったり、題字も活字ではなく風格のある書道の筆字であったり、書店で見た場合、いかにも手に取ってみたくなるような、人目を引く装丁になっている。装丁も評価対象になるということなのだろう。
 表彰式では、代表・中山 千夏のあいさつがあり、テレビに頻繁に出ていた頃よりすっかりおばあさんになった中山 千夏を生で見るのも初体験だったが、表彰が済んで、受賞者によるスピーチというのがすごかった。まあ、長い。各5分ということになっているはずだが、みんな10分以上話す。なかに本人欠席で代理出席者が本人から渡されたスピーチを代読するのがはさまったから、予定時間内で式が終わったが、そうでなければ大幅超過だったろう。長いには長いが、みんなけっこうおもしろいことを言う。本を自費出版する人は何か言いたくて仕方のないことがある人なのであり、そのなかで入賞するぐらいの人は話がうまい人ということなのだろう。
 私も大いに刺激されて、今度こそ擦過傷じゃなくて作家賞を目指そうと、意欲がわいてきた。だが、装丁をよくするにはそれなりに費用がかかるので、今度は出版社の費用で出版してもらうことを目指すことにした。それでインターネットで文学賞を検索すると、これまでに私が書いたような研究部門の募集というのは、ほぼ皆無である。ほとんどは小説か詩歌である。そこで今度は小説を書くことにした。小説のうちでも、恋愛小説、推理小説の募集が多いのだが、私が研究を重ねているのは日中戦争なので、その時代を背景にした歴史小説を書くことにした。主人公は何度も絶体絶命のピンチに陥るが、あっと驚くどんでん返しでピンチを脱する。巧みに配置された伏線があとになって意外な展開のもとになる。小説の醍醐味を存分に味わえる冒険小説に仕上げる予定である。
小説は読むのも楽しいが、書くのもずいぶん楽しいことだとわかった。
 
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