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<春夏秋冬>

発行日2012/11/10
市立秋田総合病院  米山 法子
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“なべっこ”再発見
 
 今年度より医師会報編集委員に加えて頂き、初めての春夏秋冬となる。担当号は、かなり前より決まっていたのに、 “何を書いたら”と迷い続け、お尻に火が点いて、ようやく書き始めることとなった。
 “秋”。読書の秋、スポーツの秋、そして食欲の秋。幼少時よりスポーツよりは文化系のため、スポーツの秋には縁がない。一番親しみやすいのは、やはり食欲の秋。そして、10月になると、芋掘り遠足やなべっこ遠足が、県内ニュースの話題となる。秋田の方なら、“なべっこ”は当たり前の呼び方だが、他の地域では一般的ではない。秋田で生まれ育った私は、秋田独特の呼び方であることを知らず、学生時代に何の疑問もなく“なべっこ”と発した。県外出身の同級生の頭の上にクエスチョンマークが並んだのは言うまでもない。“芋煮会でしょ?”と聞き返されたが、そう言われる度に“そうなんだけど、でも、何か違う。なべっこはなべっこ。”と、何処か引っかかるような、腑に落ちないようなそんな思いをしてきた。
 “そもそも、なべっことはなんだろう?”と思い、強い味方wikipediaで検索したところ、芋煮会のページが開かれた。やはり、芋煮会の方が断然優勢。呼称に差はあるが、芋煮会と総称するとまとめられ、なべっこは、主に秋田県沿岸部・内陸南部の呼称のようだ。
珍しいところでは、福島県会津地方の“きのこ山”。これ以外の地域では、ほぼ芋煮会である。数では負けているが内容では・・・と見てみると、“河川敷などの野外で、料理をして食べる”ということで、大きな違いはない。ただ、芋煮会は、名前の通り、メニューが芋煮であるのに対し、なべっこは、豚汁やきりたんぽ鍋など 、ややメニューにバリエーションを持たせられるのが少々リード、と思うのは、贔屓目なのだろうか。
 内容はあまり違いがないので、言葉としての魅力を検討してみた。こじ付けのようだが、最後の“こ”が気になる。そこで、またまた強い味方wikipediaで、“秋田 方言 こ”と検索。そのページに答えが見つかった。秋田弁の“こ”は、名詞の末尾に付いて、小さいものであることや親しみやすいものであることを示す、とあった。例えば、“いぬっこ”“わらしっこ”等が同様の役割である。そして、語り手の口調を丁寧なものにする効果がある、と。これを読んだ瞬間、長年、“芋煮会となっべこは違う”と思ってきた理由が判明し、喉のつかえがとれたような気がした。耳に入って来た時に、芋煮会より柔らかく親しみやすい印象がするのだ。幼少時から使っているから親しみやすいのかもしれないというご意見もあるやもしれませんが、折角検索したので、今回はwikipediaの回答を採用とします。そして、今年も行かなかったなべっこに、来年こそは・・・。

 
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