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<春夏秋冬>

発行日2012/10/10
平野いたみのクリニック  平野 勝介
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スズメバチ物語
 

年をとると緑が恋しくなるためなのか、ただ単に子供返りになるだけかもしれないが、ほんの思いつきで5~6年前から「朝顔」を育て始めた。もちろん種から育てるのではなく、ホームセンターから苗を買ってきて植えるだけだが、その年の反省から毎年、少しずつ工夫して、昨年は、妻が捨てた室内物干しを利用し、2mくらいの細い竿を使ってかなり大掛かりになった。その時期から朝は早起きしてツルの成長を観察しながら水をやるのが楽しみになる。ある朝、蜂の羽音が聞こえたが、荒れ果てた庭の一角なので、蜂の一匹くらいはいつもいる。しかし、それが低くて鈍い音で、頻度が多くなると徐々に気にはなって来た。休日の午前、1m以上に伸びたツルの内側の窓からたまたま軒下を見て驚いた。大きな蜂の巣があるではないか。その形と独特の模様からこれはまさしくス・ズ・メ・バ・チの巣であった。妻と相談した結果、退治すると決め、まずホームセンターからスズメバチ用殺虫剤を買ってきた。注意事項に色々と細かく次の様なことが記されていた。2~3m離れて噴射すること。スズメバチの巣の処理は蜂が巣に戻る日没後に行うこと。25cm以上は専門の業者に依頼すること。(ん~、ボーダーラインだ。)噴射時、巣の外にいるハチに注意すること。(クリニックにボスミン1Aを取りに行った。)毒を刺す以外噴射することもあり、失明することもある(えっ?)。35秒(たった?)で強力に全量噴射します。
ドキドキしながら夕方を待ち、まず2重に手袋をはめて窓から手を出して2mまで近づけ、20秒間一気に噴射して窓を閉めた。もう後には戻れない。様子を見ていると、しばらくして異変に気付いたハチ数匹が戻って来た。頃合いを見て、さらに5秒間噴射した。巣はすぐに穴に埋めろ。となっているが、外で穴なんか掘っている余裕は無い。日没を待って、棒でたたき落とし、ごみ袋に入れる作戦にしたが、結構硬くてたたいてもなかなか落ちない。まず10cmくらいの外壁がヒラヒラと落ち、しばらくしてやっと本体が落ちてうまい具合に庭の隅に転がってくれた。一気に庭に飛び出してデレッキでつかみ、二重にしたごみ袋に入れてさらに5秒間、袋の中に噴射した。何となく5秒間分を残した。すっかり休日を潰してしまったが、一件落着し、ホッとして最初に落ちた外壁を捨てようとしてデレッキでつかんで内側を見た時、数匹の成虫と多数の白い幼虫が蠢いていた。「ぎゃあっ」と叫んで、残りの5秒間を噴射し続け、恐怖のあまり殺虫剤が空になっても右手は硬直しボタンを押し続けた。
雑木林や山を開拓しすぎて、町中に巣を作るらしい。自然はそのままにしておくべきである。皆さん、スズメバチには十分に気をつけて下さい。
 
 春夏秋冬 <スズメバチ物語> から