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<春夏秋冬>

発行日2012/06/10
秋田組合総合病院  木村 愛彦
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肉の話
 

牛肉=高級品、というイメージを持っている世代である。病院の日替わりランチでも、牛肉が使われている料理だとついつい注文してしまう。モチロン「ビーフステーキ」というより「ビフテキ」と呼ぶ方がしっくりくる。しかし、あこがれの牛肉より最近はまっているのが馬肉である。馬刺しを初めて食べたのは研修医の時。鳥海町の診療所に当直のアルバイトに行った際にタ食に振る舞われた。柔らかく癖がなく、こんなに旨いものがあるのかとすぐ虜になった。当時は鳥海町には有名な馬刺し専門店があり、名物とされていて時々買いに行ったりしたものだが、どうやら7~8年前に閉店してしまったらしい。再開情報があれば誰か教えて欲しい。
実は現在勤務する病院の周辺も馬肉の隠れた名所で、最近ではさすがにあまり見かけなくなったが、以前は馬を引いて田んぼの中を散歩している人たちがいたものだった。病院のすぐ近くにも「馬肉のS」という専門店があり、良質な馬肉が比較的リーズナブルな値段で手に入る。
さて、県内で馬肉のメッカといえばなんといっても県北地方である。地元で生まれ育った人と当地で食事をする機会があり色々聞いてみたところ、県北では日常ごく当たり前に馬肉を食べているそうな。「焼き肉」といえば、馬肉の焼き肉のことを指し、馬刺し、馬肉の煮付けはごく著通に食卓にのぼり、特にタケノコと煮付けるのがよいらしい。中でも絶品は「馬肉ステーキ」(ホステキか?)とのことだがまだ未経験である。馬肉は高タンパクだが、低脂肪、低カロリー、低アレルギーで寄生虫も少なく、相当に優秀な栄養源とされている。カルシウム、鉄分などのミネラルも牛肉や豚肉の3倍以上含まれている。一説によると、県北地方には古くから鉱山が多数あり、鉱夫たちがパワーをつけるため好んで馬肉を食したことからこの地方での馬肉文化がはじまったらしい。
県北では以前より陸上競技、スキーの長距離で優秀な選手が輩出されている。古くはボストンマラソンで世界記録で優勝した山田敬三選手、世界陸上マラソンで優勝した浅利純子選手、ノルディックスキーの現在の日本代表選手もそうだ。いまでも県北出身の長距離陣は全国的にも非常に強く他を圧倒している。彼らの脚力、耐久力、実は馬肉パワーにその源があるのではないかと密かににらんでいる。
なにやら別企画「私のオススメ」的になってしまったが、5月の運休、きみまち阪公園に花見に行ったついでに鷹巣の名店「肉のM」で馬肉を買ったときに思いついた話。「春夏秋冬」でも良しとしよう。6月には、学会で馬肉の本場中の本場、熊本県に行く予定である。とても楽しみにしている。
 
 春夏秋冬 <肉の話> から