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<春夏秋冬>

発行日2011/10/10
並木クリニック  並木 龍一
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“あの日”・・・
 
 本日は9月11日、「なでしこジャパン」がW杯優勝に続いて無敗で五輪出場を決めた。アッパレである。「なでしこ」の強さは、「組織力」と言われている。
 米国民にとって“あの日”とは十年前の今日「9.11」を指す。米中核都市同時テロは米国のみならず、全世界に大きな衝撃と共に人々を震撼させた。死者3千人、いまだにPTSDに苦しむ国民が数十万人に及ぶという。米国はそれだけでなく、対テロ戦争で6千人を超える兵士が犠牲となり、約百兆円の戦費を投じた結果、現在は経済的にも疲弊している。
 日本国民にとって“あの日”とは「3.11」半年前の、「東日本大震災」であることは言うまでも無い。今現在、1万6千人超の死亡確認、そして4千人以上が安否不明である。被災した地域の復興、復旧は勿論だが、その後の原発事故は日本の将来に暗い影を残している。同時テロの後遺症が「テロとの戦い」だったとすれば、大震災のそれは「放射能との戦い」となるだろう。本日テレビで観た25年前の「チェルノブイリ」の原発汚染区域は、手付かず状態であった。同じ放射能警戒レベル「7」に指定された福島県は今後どうなるのであろう。
 先日発足した野田内閣。「福島県の復興無くして日本の振興は無い」と謳った。しかし本日大臣就任9日目、経済産業大臣が辞任した。原因は原発周辺を視察し『死の町』、「放射能をうつす」と言う趣旨の発言だ。一番言ってはならない発言だと思った。現実、福島から被災非難している子供が放射能汚染を理由にイジメに遭っている。「失格大臣」として葬れば事は収まると言う問題ではない。日本の政治には「組織力」が無い。と言うより、小さい組織がいがみ合い、問題解決に向けて大組織になろうと言う意識が無い。党員資格停止の元代表が、未だに影響力を持っているのが諸悪の根源と言われているが、そんな小さな事で今回の問題は解決しない。もっと大きな視点から与党、野党などと言わずに全政治家が一致して、問題解決を目指さないと日本の将来は見えない。国政を担う政治家は国民投票で選ばれるが、総理大臣を含め内閣中枢部は与党のみ(わずか4百人弱)で決められる。オカシイと思うのは私だけだろうか?「失格大臣」はわずか6ヶ月前の大震災を、既に風化しているが故の発言だったと思う。
 今、米国の「グラウンド0」の追悼式典を観ている。オバマ現大統領、ブッシュ前大統領の演説は10年を経ても風化させる事無く、超大国を取り戻そうと言う意欲が感じられた。アルカイダの凶悪な「組織力」は影を潜めているが、首謀者が死亡した今でも、その「組織力」は脅威であるとの意味にも取れた。  
 「なでしこ」は秋の七草の一つ、慎ましい日本女性の象徴である。「大和なでしこ」との言葉がある様、慎ましくも一致団結する日本の「組織力」が望まれる。
 
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