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<春夏秋冬>

発行日2011/08/10
すずき眼科  鈴木 明子
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想像力を超えて
 
 夏といえば、花火・竿燈・盆踊り。そして、お化け屋敷に怪談でしょうか。いつもはあまりお目にかからない稲川淳二さんがTVの画面を独り占めするのもこの季節です。顔に似合わずたいそう臆病な私はこの分野が大の苦手です。できれば避けて通りたい。日々の生活で遭遇するスリルとサスペンスだけで、私の持っている恐怖忍耐能力はマックスで使われているのに、やれ心霊スポットだ、ホラー映画だ、等に回す余力を私は持ち合わせていないのです。最近では、TVで放映されている「何とかサスペンス劇場」などもDVDに撮り、怖い場面になるといちいち一時停止を押して気持ちを整えて、それから続きを見るという有様で、怖いものに対応する私の容量は減少の一途を辿っているようです。
 毎週日曜日、朝7時から秋田テレビで放映されている「ボクらの時代」という番組があります。毎回、様々なジャンルの、何らかの共通項を持った三人が繰り広げるトーク番組ですが、ある朝、作家の万城目 学・湊 かなえ・有川 浩 の三氏の対談がありました。この三人は、その作品が最近映画化されて話題を呼んだという共通項を持っています。ご存じの方も多いかと思いますが、万城目 学氏が「鴨川ホルモー」「プリンセス・トヨトミ」、湊 かなえ氏が「告白」、有川 浩氏が「阪急電車」の各作品が映画化されヒットしました。その対談のなかで「作品は映像化されると想像以上にグロくなったりする。文章で読んでいるうちは思いもしないような恐怖を感じたり、強い違和感を覚えたりする。それは、文章で読んでいるうちは自分で許せる範囲で想像し、考えて読んでいるけれども映像はそれを超えるからだろう。」というような内容の話をしていました。確かに、小説を読んでいて怖くて本を閉じたり、呼吸を整えてから再度読み始めたりということは、さすがに怖がりの私でも経験がありません。あの「貞子」で恐怖を誘った鈴木光司の「リング」でさえ読み進める事が出来ました。
 ということは私は想像力を雀の涙ほどしか持ち合わせておらず、それも年々衰退してきているということなのでしょうか?それとも、最近は残虐な事件も多く、以前よりもホラーな内容がレベルアップしていて、私の想像力がついていかないのでしょうか?人生経験を積んでくれば色々な場面への対応も柔軟性を持ち、想像力も豊かになると思っていたのですが、なかなかそうはいかないようです。
 この度の東日本大震災。停電の間、ラジオから聞いた被災地の状況から、誰がそのあとTVに映し出された映像を思い描く事が出来たでしょう。想像を超えた現実、想像出来ない恐怖を前にして、それでも人は歩み続けなければなりません。お亡くなりになった多くの方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々の一日も早い身心ともなる復興をお祈りいたします。
 
 春夏秋冬 <想像力を超えて> から