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<春夏秋冬>

発行日2011/02/10
秋田県成人病医療センター  阿部 芳久
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風にたなびく旗のもとに
 
 いったい何をしにそこに行ったのだろうと後から思うことがある。かなり前の話になるが、1月3日に田沢湖スキー場に出かけたことはその典型だった。スキーをするはずが、ロッジのテレビに釘付けになった。みんなに見えるよう高い所に置かれたテレビを間近で見たものだから、帰る頃には首がおかしなことになってしまっていた。
 正月の2日、3日は箱根駅伝だ。私の出身校の陸上部は関東学連の中で群を抜く存在で、箱根駅伝の常連校のひとつでもあった。卒業して秋田に戻った当時、箱根山中の中継は技術的に無理とされ、ラジオにかじりついて実況を聞くだけだったが、今では全走路に渡って鮮明な映像が楽しめる。その日、2~3本滑った後に見たテレビ画面には、母校の襷が猛烈な追い上げをしている姿が映し出されていた。もうスキーどころではなくなった。復路逆転による総合優勝を見届けて、冷めやらぬ興奮と満足感にひたって帰路についた。家に帰って、足腰ではなく首の痛さに悩まされ、何しに田沢湖まで行って来たんだっけということになったのだ。
 その母校はこの2年間箱根を走っていない。出場しているのとそうでないのとでは、テレビ観戦にも気持ちの入り方が違うものだ。今年もシード権をめぐって熾烈な戦いが繰り広げられたが、最近ホームページで出場資格を調べたことで、シード権を失った後に復活することがいかに難しいかを認識できた。シード校は10校、予選会からは9校の出場だが、別枠の学連選抜(出場しない大学の有力選手達)が本番で10位以内に入ると予選会からの出場が1校増える仕組みであることも知った。次回の出場に向けて母校が少しでも有利になるように学連選抜にも応援を送ったが叶わなかった。
 大学スポーツの世界にも不況と就職難が大きく影響しているそうだ。大学入学後に伸びる学生もいることはいるのだが、やはり高校時代のトップアスリート達は強い。某大学では学費の免除は言うまでもなく、生活費+αまで負担して青田刈りをしていると噂されている。上位になるとテレビでは大学名が連呼され、優勝校は新聞の1面を賑わすことからその宣伝効果は計り知れないものがある。また応援にも熱が入り、応援団さらにはチアガールまでもが映像になることもある。我が母校はOBなどの応援はあるものの、ゴール付近でも派手さは全くない。昔から、ただ濃紺の旗が翻るだけであったという。現在のスポーツ界において、金銭的にバックアップしなければ勝てなくなってきているのは何も駅伝だけではない。しかし、そうした優遇されている学生達と順位の上でどこまで競い合う必要があるのか、人それぞれの想いは異なる。母校と己の名誉だけを襷に託し、ただ風にたなびく旗のもとに集う、そんなpureな世界は夢物語になるのであろうか。
 
 春夏秋冬 <風にたなびく旗のもとに> から