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<春夏秋冬>

発行日2010/08/10
並木クリニック  並木 龍一
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相撲は国技?
 
 W杯サッカーは、スペインがタコの「パウル」君の占いに導かれ?初優勝で幕を閉じました。我らが侍ジャパンは、想定外の活躍に寝不足になりながら日本国民が熱中しました。それと同時期に、「大相撲賭博問題」が発覚しました。「国技大相撲」の現役大関、親方の解雇(クビ)、要職たる理事長含めた相撲協会関係者の謹慎処分には、当然と思いつつ落胆した国民は多いと思います。
 ところで皆様、「国技」の定義はご存知ですか?私が調べたところ、とても曖昧でその国で発祥したスポーツ、一番人気のあるスポーツが「国技」に該当します。国の法令として定められているのは、韓国の「テコンドー」、カナダの「アイスホッケー」位です。英国は「ゴルフ」ではなく「クリケット」、米国は「アメフト」ではなく「野球」となっています。そう考えると現在の日本の「国技」が「相撲」で良いのか疑問です。名古屋場所の幕内番付を見ると、42人中、17人が外国人力士です。(特にモンゴル人力士は11人)解雇、謹慎力士の7人は全て日本人力士ですから、出場力士の約半分が外国人力士となります。
 時はバブルの頃、若貴兄弟が横綱となりハワイ出身の横綱曙との対戦に皆夢中となりました。その少し前、同じくハワイ出身の「小錦」が問題視されていました。その体格から、「黒船襲来」と揶揄され日本の「国技大相撲」が危惧されました。しかし、小兵の「舞の海」、大横綱「千代の富士」が立ち向かい大いに盛り上がりました。いずれも外国人力士に対し日本人力士が健闘するという、まさに「国技」だった時代でしょう。
 大相撲はここ数年考えられない不祥事が続いています。稽古と称した「シゴキ」による若い力士の死亡、大麻汚染、現役横綱の暴力事件による事実上の強制引退と、皆刑事事件です。今回の野球賭博も暴力団との関係は明らかであり、いずれ刑事事件となるでしょう。こんな小学生でも解る社会のルールが何故、力士達は守れなかったのでしょうか。公益財団法人と称する「日本相撲協会」の指導力の無さには、呆れるばかりです。しかし子供ではないのですから、指導される前に最低限の社会ルールは身に付けるべきです。特に「国技」として土俵に上がる力士は、土俵外でも見本となる社会人であるべきでしょう。
 では再建するにはどうすればいいでしょうか。外部委員会を立ち上げ、悪さをした力士をしょっ引いて裁くことも重要ですが、土俵を盛り上げる日本人力士が必要です。男子ゴルフ界を救った石川遼君のように、爽やかでなくてもいい、武骨でふてぶてしくても強い日本人力士の登場を大相撲ファンは待っています。現状のままで、「パウル」君に日本国旗とモンゴル国旗を選ばせたら、間違いなくモンゴル国旗を選び続けるでしょう。



 
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