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<春夏秋冬>

発行日2009/11/10
秋田県成人病医療センター  阿部 芳久
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インフルエンザのこと
 
「いっそのこと、今のうちにかかって軽症のうちにタミフルを飲んで治してしまいたい」ある受験生の言葉。「学級閉鎖で休んでいたら今度は学年閉鎖。学校が休みなのはうれしいけど、出歩いて遊べないのが残念」ある中学生の言葉。「私の病気はワクチンの優先接種の対象になるのでしょうか?」最近、患者さんからよく受ける質問。
 とにかく情報が錯綜しているというのが、これまでの新型インフルエンザ関連ニュースの印象です。しかも従来からの季節型インフルエンザとごっちゃになって、どっちのことを言っているのか分からないような状況も見受けられます。従来のインフルエンザも登場したときはみんな新型だったのですから、今回の新型インフルエンザという言葉はすぐに廃れるでしょうし、使わないようにした方がいいように思うのですが。
 医師でありながら、インフルエンザについての新たな情報はほとんどテレビニュースから得る始末で、そのニュース内容も昨日と今日ではだいぶ違うようなことも多くあります。新しい、しかも正確な情報をできるだけ早く入手することがこれほど難しいとは。何ら根拠が示されなかった10月にアウトブレークする(10月危機)という、まことしやかな情報はどこから出たものだったのでしょうか。これから冬に向かいますが、比較的参考になるかもしれない情報としては、南半球(これまで冬だった)では季節型:新型=1:2の発症割合だったことぐらいでしょうか。
 ワクチンの優先接種対象も曖昧です。例えば慢性心疾患では、「血行動態に障害がある者を対象とする。ただし、高血圧を除く」、「心不全や狭心症などを有し、日常生活で疲労や動悸などを生じる者」という文章を読んでも、あまりにも漠然とし過ぎていて、適切な判断を下せるかどうか(文句が出ないかどうか)自信がありません。
 このあいだ同期生のメーリングリストで、インフルエンザによる学校閉鎖について、同じ学校閉鎖でも生徒を学校内に残した閉鎖の方が効果的ではないかという思わぬ意見が出されました。①発生した学校では生徒を学校内で生活させ、マスクなどを使わず、できるだけ多くの生徒と濃密に接触させる。②以後、悪寒や関節痛などが出たら早々にタミフルを内服させる。③発症後1週間経過した者から順次帰宅。④有症状者がいなくなった時点で学校開放。どうでしょう。ただし、冗談ですから見ているみんなは絶対に実践しないでねとの注意書きがありました。
 ワクチンヘの期待が大きいようですが、日本製であっても当然いつかは副作用が報告され、マスコミにも取り上げられるでしょう。その時、ワクチン接種の適応を含めて、患者さんに十分に説明できるように情報入手を含めて今から心構えを持つ必要がありそうです。
 
 春夏秋冬 <インフルエンザのこと> から