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<春夏秋冬>

発行日2009/02/10
秋田赤十字病院  勝田 光明
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この時期は寒いです
 
 季節も徐々に冬らしくなってきましたが、今年も昨年同様に雪がほとんど積もっていません(1月5日執筆)。自分が小学生の頃は、屋根から飛び降りても、怪我をしないほどの雪が積もっていました。温暖化のせいでしょうか?あと10年もすれば、秋田が一番過ごしやすい地域になることを切に願っている一人です。なぜなら自分は、冷え性&極度の寒がりなのです。基本的には冬は嫌いです。東京に住んでいるときには、北国の人なのに・・・とよく言われていました。
 大学生のころ、勉強した教科書の中には、「冷え症」「寒がり」その他「肩コリ」というのは、病名で見たことがありませんでした。しかし、電子カルテの時代になって、ICD10を使用するようになり、「冷え症」はR68.8(その他の明示された全身症状及び徴候)。「肩こり」はM62.8(その他の明示された筋障害)。と立派に保険病名として成り立っているのです。さすがに「寒がり」は見当たりませんでした。冷え症の病名は西洋薬で処方できるものはありません。漢方薬で四物湯というものがあります。一般的には生理不順や産後の疲労回復などにも使用しますが、冷え症にも効果があります。実際、自分でも内服してみました。すると本当に足が温かくなりました。とりあえず、何度か試しましたが、やはり自分には合っている印象でした。それから、この季節になると暖房の影響で肌が乾燥します。乾燥だけでなく掻痒も伴ってくることがよくあります。これは血虚の現象の一つと考えられています。ちなみに血虚もICD10ではR68.8(その他の明示された全身症状及び徴候 気血両虚)の病名に分類され保険でも認められているようです。四物湯や十全大補湯を処方するとよいようです。
 このように、西洋医学では病名にならないような、患者の訴えは、外来で非常に多く、対応に苦慮していました。今までの医学教育では東洋医学は、いわば蚊帳の外である印象が強かったのですが、最近はほとんどの医学部で東洋医学の教育がなされるようになったようです。
 自分事ですが、昨年11月30日、東洋医学の必要性を感じて、専門医試験を受験しました。しかし、これがまた一筋縄ではいかず、まずは漢文の勉強、漢方医学の歴史から、漢字の練習・・・etc。東洋医学が、何故今まで普及しなかったのか痛切に感じました。合格の通知が来たときは、一入の喜びがありま
した。
 寒い時期と言えば、季節だけでなく、景気も冷え込んで先の見えない昨今です。せめて患者の冷え症の訴えは改善してあげたいものです。
 
 春夏秋冬 <この時期は寒いです> から