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<春夏秋冬>

発行日2008/10/10
すずきクリニック  鈴木 裕之
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さあクスリと笑って、笑いは副作用のない薬
 
 最近、またお笑いブームである。なにかと暗いニュースが多く、先が見えない社会になればなるほど笑いの効用が見えてくる気がする。先日、大阪出張の合間にとびこみで大阪なんば花月に入って吉本新喜劇を見たのだが、笑いに笑って劇場の外に出たときの爽快感はたまらないものがあった。今回は笑いが健康にいいという科学的なデータを紹介してみたい。
 最初はNK細胞の活性化という免疫能を高めるデータである。1992年、前述のなんば花月でがんや心臓病の患者19人に漫才や新喜劇を見て大いに笑ってもらった後、免疫力がどうなるかという実験を行ったところ、NK活性が33.9%から44.6%と有意に上昇したのである(p<0.01、出典「笑いの健康学-笑いが免疫力を高める-」伊丹仁朗より)。 次は1995年、関節リウマチ患者と健康人のグループに林家木久蔵の落語を鑑賞してもらったところ、関節リウマチ患者ではIL-6の値が33pg/mlから11pg/mlと低下し正常域に復した(p<0.01、出典「脳内リセット-笑いと涙が人生を変える」吉野槇一より)。その後の実験で炎症を抑えるIL-1レセプター・アンタゴニストが笑いによって増加していることもわかり、笑いは炎症を悪化させる物質を減らすだけでなく、炎症を抑える物質を増やすということも明らかになっている。
 さらに、笑いは糖尿病を改善させるというデータも2003年発表された。糖尿病患者に昼食を食べてもらった後、初日は専門的な講義、翌日は漫才コンビB&Bの漫才を鑑賞してもらってそれぞれ前後で血糖値を測定した。その結果で漫才鑑賞後では血糖値の上昇が大幅に抑えられることがわかった(講義の後の血糖値上昇:123mg/dl、漫才鑑賞後:77mg/dl、出典「笑う!遺伝子-笑って、健康遺伝子スイッチON」村上和雄より)。
 その他、枚挙にいとまがないほどのデータが報告されている。日本医師会もr笑いは副作用のない薬」というキャッチコピーを掲げて笑いを医療に取り入れようとしているわけで、笑いは人生を楽しく、人々を健康に、そして医療費削減という一石三鳥の効果がある。その効果を実践すべく私は2年前から、日本笑い学会(1994年設立、会員数1000余名、http://www.age.ne.jp/x/warai/)に所属し活動をしていて、診察の時はなんとかウケて、患者さんから笑いをとろうとがんばっている。
 最後に私のお笑い芸人デビュー予告も兼ねてお知らせを一つ。
 
「笑学校インあきた」(主催日本笑い学会東北支部秋田県人会)
 2008年10月19(日)午後1時半~4時
 遊学舎会議棟
 
 日本笑い学会東北支部秋田県人会所属の7人があの手この手で笑わせてくれる。私は「これだから医者はやめられない」というタイトルで漫談に挑戦予定。
 
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