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<春夏秋冬>

発行日2008/07/10
秋田赤十字病院  勝田 光明
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研修医を指導することは自分自身を磨くこと?
 
 平成20年5月9、10、11日研修医指導医講習会が開催された。平成21年からこの講習会を受けていない病院、各科は研修医の受け入れが不可能になり、いわば義務化の方向となった。秋田赤十字病院に勤務している自分の元にも、院長命令で研修に参加するように通達された。まず、通達が来たとき、苦痛に思い、さらに、場所が大潟村サンルーラルホテルまで行く途中、お昼のご飯をコンビニで買い車の中で菜の花を見ながら、「3日間かあ」と、ため息が出てきた。金曜日の昼下がりから講習が始まったが、普段のPHS(病院用)をホテル室内において、少しの開放感と、大きなため息とともに大広間に集合した。見ると、著名な教授や、各病院の副院長、大御所の先生方が多数参加していた。年齢はともかく、学年では自分が一番下の学年であった。講師の先生もコミュニケーションの専門家や教授、准教授、各病院で研修医の指導に携わってきた先生方が参加され、2日目は昼食も講義を聴きながら、という形で、非常に過密なスケジュールをこなしていった。最初に「研修医を怒ってはいけない」「研修医の話を良く聴く」「研修医の相談にのってあげる」・・・・・・etc。初日は何をこんな忙しい我々に、無茶苦茶な要求をして、とやや怒り気味(もちろん顔には出せませんが)、講習会後には意見交換会(飲み会)があり、各先生の意見も同様で少しほっとしました。2日目には少し洗脳状態(研修医を大事にせねばいけないのかあ)になった。その日も意見交換会(飲み会)があり、3日目には完全に洗脳(研修医が我々の将来を担っている)と思うまでになり、この講習会は無事に終了した。翌日、研修医に「なにか困っていたら何でも相談してね」と歯の浮いた言葉をかけ、怪訝な顔をさた。 我々が研修医の時は、先輩の手技、処方をみてそれを盗む(良い意味で)のが当たり前であった。しかし、医療業界以外の世界をみるとそんなものは存在しない。社員研修、教育はどこの会社でも当然のごとく行われている。それがこの日本をこれまで成長させてきた。
 医師は高校を卒業してから道徳の授業を受けるチャンスに欠いて、いきなり、社会人となってしまうし、昔から白衣を着た瞬間に何も知らない研修医が先生と呼ばれる存在になってしまう。今回の講習会は、研修医を育てるためというよりも、自分自身の道徳観や大人としての必要なことがらを学んだような気がした。
 医者不足の秋田で、研修医講習会で学んだ医師、その指導医から学んだ研修医が、今後多くなってくれば、色々な意味でより良い時代がいずれ来る気がした。
 今回、講演してくださった、講師の先生や一緒に学んだ先生方にお礼を申し上げます。そして、今後の自分自身にも歯の浮いた表現ではなく、それ相応の態度を取れる医師を目指しエールを送りたい。
(勝田光明)
 
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