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<春夏秋冬>

発行日2007/07/10
すずき眼科  鈴木 明子
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頑張れ蛙君
 
 私には、この世で他の誰よりも一番私を好いてくれていると自信を持って言える相手がいます。若い頃からずっとそれは変わりません。回りに沢山の人がいるにも関わらず、私にだけその視線(?〉は向けられています。「その年になってそれだけ関心を寄せてもらえるなんて女冥利に尽きるというもの、感謝しろ」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、私にすればそうも言っていられないのです。ちょっと口づけされるだけで私は数日間、場合によっては年を越えて悶々と暮らすことになるのです。キャンプに行った炊事場で、手はみんなを喜ばそうと一心に調理を担当し、足に寄ってくる虫を追い払うことが出来ませんでした。そのために集中攻撃を受けた足首はパンパンに腫れ、その夏どころか、それから2年間痒さに悩まされる事になりました。テニス部のマネージャーをしていた頃、コートから救急箱を抱えて校内に入ろうとした靴箱のところで、膝下やや外側の下腿に黒く膨らんだものを見つけました。なんだろうと摘んでみたところ、私の血をお腹いっぱいに吸って動けなくなった蚋でした。ある夏の朝、畳の上5~6cmとやたらと低空飛行をしている蚊を見つけました。「小次郎敗れたり!」とばかりに、パンと叩き潰すと掌にはべっちょりと血が付着しました。お腹がいっぱいになって動けなくなっても、まだ吸いたいほど私(の血)は美味しいらしいのです。
 15年ほど前、膝の裏側を虫に刺された時のこと、さほど掻き毟った覚えもないのに、ぐじゅぐじゅになり、その滲出液から自己感作性皮膚炎を発症し大変な思いをしました。以来、関節を刺されたときには決まって自己感作性皮膚炎が再燃するのです。
 傍にぷくぷくの可愛い赤ちゃんがいても、若くてぴちぴちの女の子がいても、虫は必ず虫除けスプレーその他で完全武装した私を狙ってやってくるのです。
 その虫の出現が今年はちょっと早いのではないかと思うのは私だけでしょうか。例年は6月の中頃から意識し始めるのぞすが、今年は5月中頃から刺され始め、5月下旬からはもう電気蚊取りを使い始めました。ひょっとしてこれは虫の出現が早いというのではなく、暖冬の影響で昨年の虫が生き残っているのかもしれません。ということは恐ろしや、今年はいつもの二倍の猛烈虫アタックを受けなくてはならないのでしょうか。
 そして、ツボカビのニュースが更に私を打ちのめしました。私は蛇年ではあるものの、蛇、トカゲ、蛙の類にはどう頑張っても親近感が湧かず、むしろ嫌悪感を抱いてしまうのです。ツボカビはその蛙を絶滅の危機にさらしているというのですが、そのニュースで初めて蛙が虫を食べるという、間接的には私を守ってくれている存在だということに気付かされたのです。思えば○十年の人生で、どちらかというとあまり友好的でないと思っていた人から援護射撃をしてもらい、驚くとともに感激したことも何度かありました。その度に、先入観で人を判断してはいけない。竹内一郎さんは「人は見た目が9割」と言うけれどそうじゃない。やはり、内面を見極めなくてはいない。と思い続けてきました。蛙君は私の気づかないところで、私のためにきっちりお仕事をしてくれている、まさにそんな存在だったようです。「蛙君、頑張れ!私と一緒に頑張って生きていこう!」今、心の底から強くそう思うのです。
 
 春夏秋冬 <頑張れ蛙君> から