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<春夏秋冬>

発行日2007/01/10
秋田県成人病医療センター  阿部 芳久
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同期生の将軍さま
 
 将軍さま、または首領さまと呼ばれている友人がいます。大学の同級生です。同期生のメーリングリストがあり、近況の報告、病気の相談など様々なメールが回ってきます。また、同期会のホームページには不定期に開かれる飲み会(ほとんどが東京での開催なので、あまり出席できませんが)のスナップショットなどがアップされ楽しませてくれます。彼はそんな同期生同士の繋がりを保つ中心人物で、彼の一言(御命令)によっていろんなことが一気に動き出すことが多々あります。そのリーダーシップゆえに、メール上では上記のように呼ばれているわけで、北朝鮮の方とは全く関係ありません。その容姿は、「巨人の星」に出てくる左門豊作を少しスマートにしたと言えばお分かりいただけるでしょうか。 前置きが長くなりました。10月の後半だったでしょうか、将軍さまからメールがありました。週間東洋経済の今週号がおもしろい。「ニッポンの医者と病院」という特集で、週刊誌だから早く買わないと手に入らなくなるぞという忠告付きでした。さすが将軍さま、経済雑誌までお読みになっていると感心させられました。早速本屋に走り、1冊だけ残った10月28日特大号を見つけました。これまで何度も目にした雑誌コーナーですが、東洋経済という雑誌が存在することすら気づきませんでした。「我々は見ようとしたものしか見えない」とはよく言ったものです。偏った報道の多い中、さすが我らの将軍さまの推薦だけあってニュートラルな立場で書かれた記事が満載でした。経済誌ならではのものでしょうか。ちょうど市医師会会報座談会の司会を仰せつかり、医療の現状について少しは勉強しなければと思っていましたので、絶好のタイミングでのメールでした。
 週刊誌を読んで、特に医療制度変遷の図を見ることで、お上の一言によって実際の現場が右往左往する様子を具体的にイメージすることができました。また、経営に携わる立場にない勤務医が医療の仕組み、医療行政などに如何に無頓着であるかを痛感しました。患者さんのことだけを考えて日々の診療に明け暮れるものにとっては、直接身に降りかからないことまで気が回らないというのが勤務医の本音でしょう。考えてみると、医師になってから、医療を考える上での基本的な知識を得る場はほとんどありませんでした。そんなところにも、開業医と勤務医の医師会に対する温度差の一因があるような気がします。
 教育を含めた最近の医療制度をみると、改正するポイントだけに目がいき、それが周囲にどのような影響を及ぼすかまで考えていない、すなわち想像力の乏しい方たちが立案しているのではないかと思うことさえあります。その点、私たちを遙かに超える豊かな想像力を持つ将軍さまに率いられていることで、我々の同期会の安定性は今後とも揺らぎそうにありません。
 
 春夏秋冬 <同期生の将軍さま> から