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<春夏秋冬>

発行日2007/05/10
    橋本 啓子
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さくら
 
 何十年ぶりの豪雪の去年も、記録的な暖冬の今年も春は必ず訪れるもので、桜が見事な花を咲かせた。
 さて、何年か前、「高校教育の目標は、英語を話せる生徒を育てること、ノーベル賞受賞者を出すこと」と知事が話すのを聴いて愕然とした。英語よりも秋田弁を喋れる子供を育てることが急務ではないか。秋田弁は「悪い言葉」として、喋ってはいけないと教育してきた結果、消滅の危機に瀕している。それに、ノーベル賞並の仕事をしている人はすでにいる。スタチンを発見した遠藤章さん、海中写真家の中村征夫さんである。高校を卒業したら、秋田を出て行きなさいといわんばかりの教育目標はおかしいと思う。
 自然の美しさ、山の恵みと海の幸、さらに食の豊かさなど、秋田の魅力を大人が誇りに思い、子供に伝えていくことによって、ここに暮らしたいと思う若い人が増えていくのではないか。少子高齢化対策として、急ごしらえの子育て支援税よりも大切で、根本的なことだと思う。
 美しい秋田の自然、桜の名所を三つご紹介する。
 一つ目は太平川堤。サイクリングや散歩がお勧め。サティの前を出発し、百石橋付近で一休み。その先は線路と交差するので、住宅地を抜けて再び堤防へ。桜大橋から先は、両側から川面を覆うように木が伸びている。旧経法大の下で太平山を拝んで短いお花見ツアーが終わる。
 二つ目は雄和の雄物川沿い。黒瀬橋を渡って、すぐ左折、集落を抜けると桜のトンネルが現れる。帰りは水沢橋を渡って、桜並木を対岸から眺める。杉林を背景に、川辺を淡いピンクが彩り、たいそう美しい。
 三つ目は河辺。辺岨公園から鵜養に向かう途中、右手の山裾に桜の並木が現れる。あまり大きな木ではないが、辺岨公園を過ぎてから広がる光景の美しさと相まって、見とれてしまう。
 おまけにもう一つ、旧大内町のかすみ温泉。樹齢400年のかすみ桜が一本。5月の連休に見ごろを迎える。周りの山も山桜とブナの新緑のコントラストが美しい。
 興味のある方は、来年どうぞお楽しみください。
 最後に高校生の生の声をお届けしたい。

 私は秋田が好きです。そして秋田の人が好きです。
 英語が話せてコンピュータの使える高校生なんて、どこにでもいるだろうと高校生のわたしでもおかしいと思って愕然としたくらいです。
 詑りは大事です。その土地の個性です。その個性を捨てて華やかな東京や大阪みたいになろうたって、それは秋田の個性ではないので必ず無理が生じます。
 そんなことより、秋田の個性、長所を伸ばすべきだと思います。清太郎さんの森や新屋の温泉、角館の桜並木や男鹿の寒風山。いいところは17年間しか生きていない私だってたくさん知っています。「されど井の良さを知る蛙」は、「大海を知る」ことよりも愛があるのではないでしょうか。
 
 春夏秋冬 <さくら> から