トップ会長挨拶医師会事業計画活動内容医師会報地域包括ケア介護保険について月間行事予定医療を考える集い学校保健関連

<春夏秋冬>

発行日2006/12/10
すずき眼科  鈴木 明子
リストに戻る
老いては子に従い
 
 豪雪で始まった平成18年も残すところあと3週間となりました。
 多少の浮き沈みはあれ、昨日と同じような今日が過ぎて月日は流れていきます。昨日となんら変わることのない今日なのに、去年と同じような今年が過ぎていったのに、何故かそれを10年という単位で振り返ったとき、そこにはけっして同じようなとは言い切れない流れを感じます。ちょっと、身体に不調を覚えると、なんでもかんでも「更年期のせい?」と思ってしまうこの頃の自分がいます。下から押し上げられて「未熟もので・・・。」と逃げられない立場に立たされた自分がいます。周りに纏わり付いていた子供たちも一人二人と自分の足で歩き出し、来年は末の子も巣立つ予定です。今までは、子供の教育、進路が話題の中心だった友との会話も、いつの間にかこれからの自分自身の生き方、老親の心配や介護へと様変わりしました。
 そして、見えてくるのが親との軋轢に悩む子の姿です。中々、子の意見に耳を傾けてくれない、聞き入れてくれないと悩む友のなんと多いことか。翻って我が親を見ると、自分で言うのもなんですが、これが実によく出来た親で、未だに子のため、孫のためと頑張ってくれています。母などは、女の三従の教え「即ち家にあっては父に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従う」さながらの女の鏡(?)、今は気の強い娘に翻弄されながらも、小さな声で文句を言いながらも笑顔で尽くしてくれています。有り難い限りです。父にはよく従いましたが、夫に従いきれずに挫折した私に残された従はあと一つ。「老いては子に従い・老いては子に従い。」と今から一生懸命に言い聞かせています。
 そんなこんなで「老いては子に従え」が今のところ私の仲間内では大勢の意見となっているのですが、一つ問題が生じました。「でも、何時、自分は老いたと判断するかよね。」確かにそうです。孫が出来たから老いたと判断するものでもありませんし、仕事を辞めたから老いたと決めるものでもありません。「老いては子に従う」のは簡単かもしれませんが「自分は老いた。そろそろ、子に従わなくてはいけない。」の判断はそう容易なことではないように思えます。そして、私にはもう一つ問題があります。三人の子の内、どの子に従うかです。上から男・女・女の三人ですから、一般的には長男かなと思い息子に聞いてみました。「赫々然々なのだけれど、母は誰の意見に従ったらいいかしら?」と。私としては当然「僕だよ。任せておけ!」という答えが返ってくると思ってのことでしたが、なんと息子の口からでた回答は「さとみだな。」と長女を指名するものでした。これは、長女だけが医学部に進学していることから発したもののようですが、母としてはがっかりしてしまいました。結局、何時まで経っても老いたと自覚することも出来ず、どの子に従うかも定かでなくて右往左往し、周りのみんなに迷惑のかけ放題で生きている、そんな未来の自分の姿が見えるような気がします。
 あと僅かな平成18年もいつもの様に過ぎ、来たる平成19年もいつものように無事過ごせますように・・・。
 
 春夏秋冬 <老いては子に従い> から