トップ会長挨拶医師会事業計画活動内容医師会報地域包括ケア介護保険について月間行事予定医療を考える集い学校保健関連

<春夏秋冬>

発行日2006/02/10
秋田組合総合病院  犬上  篤
リストに戻る
燻製
 
 燻製との出会いは卒後3、4年の時であった。亡くなった高校の同級生が誕生日祝いにと家庭のガスで使用できるスモークパンをくれたのがきっかけであった。当時は今みたいに家庭用スモーカーなどなかった時代で、画期的なものであった。添付の説明書・燻製の作り方を頼りにべ一コンを作ったのが最初であった。付いてきたチップを使い終わったらチップの入手が困難で、しばらく燻製は作っていなかった。本格的に燻製を始めたのは冷凍した岩魚をどうしようかと考えた挙句の結論で、今では毎年末の恒例行事となった。
 燻製作りは手間の掛かるものである。スモークチップはホームセンターで売り出されたときに買いだめしておく。以前リンゴのチップで作った時はすっぱい味がすると言われリンゴは買わないようにしている。まず解凍するのに丸1日かかる。次に飽和食塩水を作り、スパイスを入れた漬け汁を作る。秋田では常に同じスパイスが手に入るとは限らず、毎年微妙に味が違う。漬け汁につけ24時間冷蔵庫で寝かす。これは毎年家内から冷蔵庫の場所塞ぎだと文句を言われている。今年は庭の雪山に穴を掘りそこで寝かした。次に塩抜きである。教科書的には流水で24時間かけて抜くとなっているが、これが非常に難しい。これもまた家内からのクレームの対象である。水道料金が上がる、流しが占領され炊事ができないと。抜きすぎたり、抜けきらずしょっぱくて食べられる代物ではなかったこともある。途中で呼び塩をいれたり、グリルで焼きながら塩加減をみながらするようにした。今年は海水を利用して、呼び塩を入れたらうまくいった。塩抜きは毎年の課題である。次は乾燥である。最初のころはフックを付けぶら下げていたが、今は魚干し籠を使用している。これもまた厄介で、日が当たらず風通しの良い場所で乾し、べたつかない程度に乾燥しなくてはならない。今年は外に乾かしていたら凍ってしまい乾燥に時間がかかってしまった。これで燻煙にはいるが、温度管理が難しい。はじめ3時間ぐらいは、スモークウッドを使用して温度が上がらないようにし、そこからチップに変更して燻煙庫内の温度を70度ぐらいまで上げ、5、6時間燻製する。以前は卓上ガスコンロを熱源にしたが壊れてしまい、またキャンプ用ガスコンロもボンベが爆発したこともあり、一昨年からセパレートタイプのガスコンロを使用している。しかしこれもボンベの温度がさがり、ガスが気化しなくなるという難があり、特に今年は気温が低いためダメかと思ったが、かえって軟らかくうまくできた。今まで燻製にしたのは鴨、鮭、岩魚、山女、秋刀魚、そして今年はハタハタも燻製にしてみた。家族に好評なのは秋刀魚で、べ一コンも作ってほしいと言われたが、燻製庫は今は忌々しい雪山の下で当分はできそうもない。
 
 春夏秋冬 <燻製> から