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<ペンリレー>

発行日2003/01/10
石田医院  石田晃二
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パソコン将棋
 
 親父の惚けを察知した息子が、「やってみたら」といってパソコンを置いて行ったのは、数年前のことである。その時送られて来た請求書には、チャッカリと息子用のノートパソコンの分も入っていた。
 息子の好みは以前からMacintoshで一貫している。従って息子が置いて行ったのもMacで、performa588という余り性能のよくない小型の機種であったが、今では少しずつversion upして、MacOS9.2を便用している。
 月に一回ていど透析患者のデータ処理をやってはいるが、殆どはワープロ機能の活用のみで、他には某先生お薦めのchanne1 2を時々覗く程度でお茶を濁している。いまさら分厚い説明書を読んで活用範囲をひろげる根気はないし、やはり宝の持ち腐れの感は否めないようである。
 フロッピーで送られてくる資料がMacではうまく展かないことが間々あったので、息子に文句を言ってみたが、Macに拘っている彼は中々自説を曲げようとしない。しかし小六の自分の子に「Windowsが欲しい」と言われて、愕然としていたのを憶えている。
 一昨年の十月頃、息子からパソコン将棋の申し入れがあった。画面に棋盤を写し、Eメールで送信し合った手をなぞってゆくという簡単なものだが、精々一日に一手ずつの交換しか出来ないし、毎日という訳にもいかないので、一局に二三ヶ月はかかる。
 息子は県南の総合病院に勤務しているが、かなり多忙なようで、送信時間を見ると大抵午前三時以降となっている。時には短い伝言付きで送信することもあるので、単身赴任の息子にとっては動静を監視されている気分かもしれない。
 当方としては夕食後のゆったりとした時間帯を利用して、迷手奇手を捻り出しては送信しているので、午前様となることは先ずない。ただ最近視力が落ちてきたせいかアドレスの押し間違いがあり、あらぬ方へ「7六歩」などと送信してしまって面喰らわせたこともあった。
 戦績は今のところ親父の四連勝である。女房は「あんたは暇だから一手に二三時間は掛けているけど、息子は忙しいから精々二三分よ。勝てる訳がないじゃない」と息子に同情している。
 父と子の真剣勝負になにかと気遣いを見せている女房だが、息子が親父の惚け対策の手
助けとして、わざと負けて呉れていることには気付いていないらしいのだ。
 
 ペンリレー <パソコン将棋> から