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<ペンリレー>

発行日2002/11/10
社会保険あきた健康管理センター  濱島由紀
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お母さんごっこ
 
 今年の4月に娘が幼稚園に入園した。5月末にその初めての父母会でお友達のお母さんに声をかけられた。「なっちゃんのお母さんですか。いつもうちの娘となっちゃんが遊んでいるようです。」と。娘からは5月の連休明けぐらいからポツリポツリとお友達のお名前が聞かれるようになっていた。そういえばほぼ毎日のように名前が聞かれるお友達がいたような。そのお母さんは「いつもなっちゃんとお母さんごっこをしているようで、とても喜んで帰ってくるんです。娘に『お母さんごっこでなんの役なの?』と聞いたら『私はやさしいお母さんでなっちゃんは怒るお母さんなの。』というんで笑ってしまって、今日なっちゃんのお母さんにお会いできるのを楽しみにしていました。怒るお母さんをいろいろイメージしてきたんです。」と、いわれてしまった。私の顔はきっとひきつった笑顔だったにちがいない。「ははは。」と笑いながらも私は『あらららら。やられた。』思わず心で叫んでいた。同時に娘に仕返しをされたような、一本とられたような複雑な思いであった。その日の帰宅後、娘に<お母さんごっこ>の話を聞いたのはいうまでもないが、娘には適当にながされてしまった。私の頭の中は<怒るお母さん>という言葉がぐるぐる周りまくっているのに。たしかに忙しい時、疲れている時はピリピリしてしまい、とくに朝は毎日、大声を張り上げている。加えて私は自他ともに認める短気である。そのため、チョットしたことがきっかけで突然に前触れもなく怒りがわきあがりもう手がつけられなくなるのである。一番の被害者は、両親と夫であるがその第3の被害者がどうも娘だったようだ。さらに単身で市外に赴任している夫はたまに帰ってくると娘の下僕のごとく、娘がなにをやっても100%肯定してしまうパパである。怒るどころか大声を出したことがない。普段は母子2人暮しの娘にとって怒る人は母だけなのである。きっと、私のことを一番身近にみながら『お母さんは怒る人』と思っていたのだろう。
 この父母会での会話の後、少し落ち込み、反省した私は以後しばらくは怒り『ぐっ。』と、こらえるよう努力をしていた。そして、時々猫なで声で「なっちゃん、最近お母さんごっこしているの?なっちゃんはどんなお母さんなのかな?」なんて、探りをいれる<せこいお母さん>となっている。しかし、期待している<やさしいお母さん>の役はまだ聞かれたことがない。
 次は岩手医科大学の先輩の遠山医院遠山潤先生にお願いいたしました。
 
 ペンリレー <お母さんごっこ> から