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<ペンリレー>

発行日2022/11/10
中通総合病院  山田 瑛子
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タイの秘境<タオ島>へのすすめ
 
 中通総合病院小児科の山田瑛子と申します。2021年に秋田に移住して以来アレルギー診療で大変お世話になっている千葉剛史先生からご指名を頂きました。せっかくの機会なので、私が大好きなタオ島について皆様に知っていただきたく、その魅力をご紹介させていただきます。
 タオ島を初めて訪れたのは大学5年生、今からちょうど10年前になります。きっかけは当時交際していた夫からの提案でした。夫は秋田大学の同期でしたが、当時は互いの趣味が合わず夫は長期休みの度に世界遺産巡りと称して世界放浪の旅に出かけていました。その当時はWi-Fiは今ほど普及していませんでしたから頻繁に連絡を取り合うことは難しく、夫は気が向くとネットカフェから近況を報告するメールをよこしていました。2011年大学4年の終わりに夫がアルゼンチンのフィッツ・ロイ滞在中に東日本大震災が起こりました。現地では詳細は分からないまま津波の映像ばかりが流れ宮城の実家にいた私とは連絡が取れず、帰国するまでの間夫は大変不安だったそうです。この出来事があって夫は今後旅行は2人でと考え、2人の共通の趣味が出来ればとダイビング旅行に誘ってくれたのでした。
 タオ島は南北に7㎞、東西に3㎞ほどの小さな島です。タオ島には空港がありませんので、リゾート地サムイ島やタイ南方のチュンポンなどいくつかある地点から高速フェリーで乗り入れる必要があります。高速フェリーまでのルートは飛行機や寝台列車、深夜バスなど選べるのですが、大学生の時には時間有り・お金無しの状態でしたので、成田からバンコクまで7時間ほどのフライトのあと、凍りそうなほど冷房が効いた深夜バスでチュンポンまで8時間南下し、朝の陽ざしのもと永遠と待たされた後に高速フェリーで2時間ほど揺られて到着というルートを選択しました。正直着いた時点で体調は最悪でしたから、多少お金に余裕があればこのルートはお薦めしません。
 タオ島初旅行の目的の一つにスキューバダイビングのライセンス取得がありました。Cカード、いわゆるダイビングライセンスはいくつかの民間団体が出している認定資格で、一度取得しておくと半永久的にレッスン受講なしで世界中の海で潜れたり、水深も体験ダイビングよりも深く潜れたりとダイビングをより楽しむことができます。日本であれば初心者向けコース取得に6-7万円はかかるのが一般的なところ、タオ島は約11000バーツ(今は1バーツ3.9円ほど。10年前は1バーツ2.5円ほど)で取得できてしまいます。受講時の言葉の問題も心配ありません。日本人スタッフが常駐するダイブショップも多く、託児所が併設されている場合もあります。色々述べましたが、これら情報は後々知ったことで当時はダイビングにさして興味もなくCカードが何なのかすら知らず、夫が誘ってくれたからやってみるか、というかなり受け身な姿勢でした。とはいえ、学科講習、プール実習と進んでいき、最終日に海で実習する頃には早くもダイビングの楽しさを感じ始めていました。きっかけをくれた夫には今ではとても感謝しています。
 タオ島やサムイ島が位置するタイ湾は、カラフルな水中景観や魚影の濃さ、ジンベエザメやマンタなどいわゆる大物が多く出没することが大きな特徴です。それはタイ湾がマレー半島とインドシナ半島に囲まれた閉鎖性海域のため、潮の干満が1日1回しかない極めて特殊環境にあることが影響しているとされています。なかでもタオ島は周辺をぐるりと取り囲むようにいくつもジンベエザメに遭えるダイビングポイントがあることでダイバーの間では有名です。とはいっても、私達夫婦は過去4回タオ島を訪れ100本近く潜っていますがジンベエザメにはまだ一度も遭えていません。同時に出港した仲間の船や、2人揃って寝坊して乗りそびれた船でジンベエザメに遭遇した話ばかり聞いていて、完全に運に見放された感じがあります。ただ、ジンベエザメに遭えなくてもタオ島周辺の海は何度潜っても飽きることはありません。タイマイやアオウミガメ、マンタが眼前を優雅に舞っていたり、バラクーダ(カマス)やテルメアジの大群で視界が完全に遮られたり、一方で下に目を移せば可愛らしいハコフグや繊細な色合いのウミウシが至る所に隠れていて、毎回新たな発見、感動があります。水温が常に28-30℃と暖かく流れも穏やかなので、ぼんやりとクリスマスツリーワームを眺めているだけでも最高に気持ちが良いです。
 ここまでダイビング主体でご紹介してきましたが、ダイビングの後にはリーズナブルな価格でマッサージやスパ、現地の食材をふんだんに使ったタイ料理を楽しめます。1回500バーツ程度のマッサージは現地のおばちゃんとの片言のタイ語を使った交流も楽しめます(「サバーイ」=「気持ち良い」を連呼していると大体喜んでくれます)。もちろん辛味やパクチーなどは「マイ サイ~」=「~入れないで」と伝えれば抜いてくれますし、焼き鳥やチャーハン、焼きそば、すき焼きなどこどもの舌でもばっちり合う料理も沢山あります。
 フォトジェニックな風景やプール、プライベートビーチを楽しめる豪華なリゾートホテルが沢山存在していますので、のんびり時を過ごす旅行スタイルにも適しているかと思います。長男が2歳と3歳の頃に行った際はダイビング主体の日程にはしませんでしたが(何回か託児所に預けてダイビングはしましたが)、十分楽しめました。
 2018年夏が最後のタオ島旅行となり、その後はコロナ禍の中未だに海外旅行は二の足を踏む状況が続いておりますが、8歳になる息子が最近「ダイビングをしてみたい!」とスイミングに通い始めました。可能であれば10歳になったらタオ島でジュニアライセンスを取得してもらい、一緒にダイビングを楽しめたらなあ、と期待しております。
 とりとめもなくタオ島のご紹介をしましたが、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。次回は10月に中通総合病院に赴任された神垣佳幸先生にお願いしました。よろしくお願いいたします。
 
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