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<ペンリレー>

発行日2021/07/10
秋田厚生医療センター  小林 芳生
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自由研究ふたたび
 
 若林先生よりご紹介を頂きました小林芳生と申します。若林先生とは長野高校、秋田大学医学部ソフトテニス部からの縁で、現在も仲良くしていただいています。
今回の内容を要約しますと、医療とは全く関係はなく、我が子の夏休みの自由研究から自分の過去を思い出し、そもそも自由研究というのは何?と疑問を感じながら、子供と夏休みに頑張ったという話です。ご興味のない方は飛ばしていただけますようお願いします。

 次回は、秋田大学同期で、昨年コロナ禍に広面にご夫婦で開業された、大場貴喜先生にお願いしました。

 自由研究というと、多くの方が小学生の夏休みに経験されたのではないでしょうか。当時の私は、脱皮寸前のセミを捕まえたときはラッキーでしたが、他は、庭においた色水の温度を測ったり、ナメクジに油や砂糖をかけて死ぬまでの時間を測ったり、割り箸で工作をしたりした記憶があります。ただ、私の中では過去のもので、月日を経て、親としてまた関わるとは思っていませんでした。
 今までは、実験や観察、勉強したものを大きい紙に書くか、ものを作るのが、「自由研究」だと思っていました。娘が小学校1年生の時は、夏休みに訪れた野尻湖のナウマンゾウ博物館のことを、写真や資料を貼りながら画用紙にまとめました。小1らしい良い出来だと思っていたのですが、妻から聞くと、他のお友達のものはさらにすごかったようです。優秀作は校内で選ばれ、秋田市児童展で展示されるようでした。娘のものはもちろん選ばれず、頑張ったのになぜ選ばれないの?と泣かれました。友達の作品が選ばれたので見に行きましたが、実験や調査、旅行日記、工作や手芸、水彩画や切り絵、書道、作曲、プログラミングなど、小学生の自由研究とはいえ、見ごたえがありました。小学1年生が、震える字で鉛筆の下書きをなぞったものや、これは明らかに子供の考えを超えるだろうと思われるものなど、子供以外の力が働いている作品もいくつか見られましたが(笑)。

 季節はめぐり、娘の2年生の夏がやってきました。今年は選ばれたいと。しかし、我が子が工作や手芸、絵画で選ばれるのは無理、良いネタを見つけて実験や調査をするところかなぁと考えましたが、選ぶ側の期待するところはどこだろうか?そもそも、「研究」と名のついた子供の宿題をどう理解したら良いのか?に頭を悩ませました。しかも自由。
 そんなとき、同じような疑問を持った人のブログを見つました(某大学の教授でした)。その人(教授)の子供(ご子息)が、「鎌倉幕府を開いた源頼朝のことを調べて自由研究に書きたい」、「バミューダ海域に船が沈むのを調べて自由研究に書きたい」、といったことから始まるのですが、源頼朝が鎌倉幕府を開いたのは、すでに誰かが明らかにした史実で、それを書くのは「お勉強」じゃないの?バミューダ海域を調べるっていうけど、あんた、どうやって行ってどうやって潜るの?そもそも「自由研究」って何?
 研究者であるお父さんは、自由研究を子どもに求めるのなら、学校側で「自由研究が何か?」をきちんと説明してほしい。そうしないと、間違ったものを「研究」と呼んでしまうから。「お勉強」と「研究・探究」を同じものと考えないで欲しい。と、自らが導き出した「自由研究」の定義を子供に話すのでした。
 自由研究とは、①自分が知りたいこと、②他の誰も、今までやっていないこと、③身近で夏休みの間にできること、これらをすべて満たす「知的な活動」ですよ。と。そして3つのなかで、特に大切なのは②「オリジナリティ:誰もやっていない度」と③「フィージビリティ:成し遂げることができるか度」であると。(部分的に自己流解釈あり)
 私の心の中の霧が晴れていくようでした。興奮冷めやらぬままに我が子を呼び寄せ、話したのでした。

 我が家の小学2年生は、野尻湖で見つけたナウマンゾウ柄のマンホールに興味が湧いたようで、学区内のマンホールを調べてみることにしました。オリジナリティはまあまあとして、想像以上にマンホールの数と種類は多く、そして夏の道路は非常に暑く、フィージビリティは厳しいものがありました。子供主導にするためにも、子供を奮い立たせ励ましながら、遊ぶ時間と体力・精神力を削って、多大な犠牲を払っての自由研究となりました。その甲斐あってか、めでたく秋田市児童展に展示してもらえたのですが、これを毎年続けるには親子とも厳しく、また、選ばれたことで娘の気も済んだので、来年以降は定義や内容にこだわらず、適当にお勉強や工作をしよう、となったのでした。
 今年は長男も1年生になり、そして自由研究の夏がやってきました。適当にとは言ってもやはり手伝いは必要そうで、こんな感じがもう6年続くのでしょう。小学生のお子様をお持ちの先生方、お疲れ様です。今年の夏も頑張りましょう。
 
 ペンリレー <自由研究ふたたび> から