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<ペンリレー>

発行日2020/07/10
秋田赤十字病院  小棚木 圭
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礼文島の思い出
 
  秋田赤十字病院消化器外科の小棚木圭といいます。諸先生方には日頃より大変お世話になっております。当院呼吸器外科の齋藤先生からペンリレーの話を聞き、引き受けたのはいいものの、何を書けばいいのか全く思いつかず、締切日近くになってしまいました。色々考えた結果、同世代より礼文島に多く行っているだろうと思い、礼文島の思い出について書くことにしました。
  礼文島は、北海道稚内市の西方60キロメートルの日本海に位置する最北の離島です。利尻礼文サロベツ国立公園の中でも約300種類の高山植物が咲く「花の島」と呼ばれています。(礼文島観光情報から抜粋)。秋田空港からは始発で羽田空港を経由して稚内空港へ行きフェリーに2時間弱乗って午後5時頃に礼文島に着きます。帰りは羽田か新千歳空港を経由して帰ります。高山植物の他にも海産物を中心としたグルメや登山・トレッキングなどを楽しむことができます。6月から9月前半頃にかけて観光客が大変多く訪れています。私のおすすめはウニ、特にバフンウニです。他のウニが食べられなくなるほどで、極力買って帰ります。
  秋田以外で住んだことのある東京と仙台を除くと、礼文島は一番多く訪れている場所です。小学生時代の夏休み中に2回、研修医の地域医療実習で1か月、当院消化器外科に入ってからは年1回、1週間の診療の依頼で行かせてもらっています。秋田とはまた違った自然があり、離島のため海も目の前にあります。日常とは違った環境で、さらに8月でお祭りもあったことから、小学生時代に行った時は非常に楽しかったのを覚えています。当時遊んでいたタコのオブジョのある公園、通称「タコ公園」に昨年行ったのですが感慨深いものがありました。
  研修医時代は5月に訪れましたがとにかく寒かったです。診療所の先生の御厚意でバーベキューをして頂いたのですが、その日は暖かく、日が照り付けており日焼けをするほどでした。離島の医療は基本的には治療を島で完結しないといけませんが、対応困難な患者が来た場合は稚内市へのフェリー搬送に付き添ったりドクターヘリを要請したり、秋田では経験できないことを多く学ぶことができました。
  派遣の仕事は午前に外来、午後に病棟で診療しています。週1回特別養護老人ホームでの診察、訪問診療も行っています。普段は消化器外科の医師として勤務していますが、礼文島では主に内科疾患を多く診ています。原因不明のアナフィラキシーを繰り返す患者を診察した時は非常に苦労しました。1日の診療が終了してからは比較的時間があるので、最近は温泉を楽しんでいます。
  先ほど述べたように基本的に1日で行ったり帰ったりできるのですが、最近は順調に行き来できてません。ある年は吹雪のせいで羽田から稚内行の便が欠航となり東京で足止めを食うことがありました。またある年は停電するくらいの強い風が吹く悪天候が続き、2日遅れて秋田に戻りました。2018年9月に行った時は北海道胆振東部地震が発生した時でした。礼文島に直接の被害はなかったのですが飛行機等の待ち時間がとにかく長かったです。2019年6月も天候が悪く、2日後にフェリーに乗ることができましたが風が非常に強く、荒波で船酔いしてしまいました。夜に稚内に着き、稚内市内に1泊して翌日何とか秋田に戻ることができました。
  今年は6月上旬に行く予定でしたがCOVID-19の影響で派遣が中止となりました。礼文島に行くのが年間のルーティンのようなものだったため、行き来に大変な思いをすることはあるのですが、中止になったと分かった時は非常に残念な気持ちになりました。執筆している今は東京アラートも解除され、流行はある程度落ち着いている状況と思います。この状況が続いていれば来年は是非行きたいです。また昨年子供が生まれたので、子供が大きくなったら家族で行ってみたいと思っています。
  次は、研修医時代から今も大変お世話になっている当院呼吸器外科の河合秀樹先生にお願いしました。宜しくお願いします。
 
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