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<ペンリレー>

発行日2020/04/10
秋田赤十字病院  土佐 慎也
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猫とおじさん
 
  私の家では、猫を飼っています。スコティッシュフォールドのオスで4才。名前はミー太。目がクリッとしていて、毛色はシルバーと黒と白。ごはんやおやつをよく食べるので、ちょいポチャの体型。怖がりな性格で、ちょっとした物音にも驚くビビリ君です。特にレジ袋のシャカシャカした音が最も嫌いなようで、家族の誰かがレジ袋を使っていると、全力疾走で逃げていきます。その必死な様子がとても可愛らしく、いつも私たちは癒やされています。
  約4年前、2人の娘が「猫を飼いたい」と言うので、いろいろ探していたところ、生後2ヵ月の小さなミー太に出会いました。よちよち歩く姿を見て、なんとも言えない微笑ましい気持ちになり、我が家の仲間入りをしてもらおうと決めました。今では、家庭内で唯一の男同士、心が通じあうような瞬間もあります。
  私はジョギングを趣味としており、毎朝、仕事へ行く前に1時間ほど走っています。ジョギングから戻ると、当然のことながら全身は汗だくです。年頃の娘たち(高3と中3)に、パパ汗くさい!と言われないように素早く風呂場へ駆け込むのが恒例となっています。ところがミー太は、私の汗が染み込んだジャージや靴下の匂いを積極的に嗅ぎ、恍惚な表情をするのです。なんだか嬉しくなり、「そうか、この匂いが好きなんだな」と頭を撫でてやります。とても疲れているときなど、無意識にミー太に話しかけている自分がいます。ミー太も、おじさんの話に耳を傾けているような気がします。夕食後、私がリビングで横になっていると、ミー太も近くに来てゴロンと寝そべります。あおむけで後ろ足を大きく開き、お腹を広げて気持ち良さそうです。その自由な姿を見てほっこりし、私もまた気持ち良くうたた寝をしています。至福の時です。
  たまに真夜中の大運動会が始まり、前足で器用にビー玉を転がしながら廊下を走り回るのですが、これがまた、ガラガラとなかなかうるさくて笑ってしまいます。ちょっとした物音にもビビるのに、自ら発生させる騒音は大丈夫なのかい!しかも真夜中に!とツッコミを入れたくなります。とりわけミー太が気に入っているのが、子犬のメスのぬいぐるみです。かじったりじゃれついたりしてボロボロになり、鼻の部分が取れてしまったので、別のぬいぐるみを与えたのですが、見向きもしません。よっぽど気に入っているようなので、その子犬には「プリンセス」と名付け、ミー太の彼女として活躍してもらっています。妻と娘たちが外出するときは、玄関のドアが閉まったあと、ミー太が寂しそうな声で鳴き続けていることがあります。私が書斎から顔を出し、「おい、おじさんがいるぞ」と声をかけると、安心したように鳴き止み、私の足下へスリスリと寄ってきます。本当に愛おしい存在です。
  2月22日は猫の日だということで、県の動物愛護センター(ワンニャピア秋田)に、ニャンとも幸せだニャー写真展を見に行ってきました。同施設で保護した猫たちが、無事に譲渡先が見つかり幸せそうに暮らしている写真がたくさんありました。どの猫も、リラックスしてのんびりと過ごしているようで、飼い主から大切にされていることが伺えました。このように幸せになる猫が、これからも増えてくれることを願います。当日は、まだ譲渡先が決まっていない猫たちがケージの中にいて、ボランティアの方々が世話をしておられました。2025年度までに殺処分ゼロを目指しているそうです。昨年、天皇皇后両陛下が訪問され、その熱心な取り組みに大変共感されたとのことでした。施設内の設備は、とても充実していて、日本最大級の立派なキャットタワーがありました。昨年4月のオープンから今年1月までに、292匹の猫が譲渡されたそうです。命を大切にする活動に、娘たちは感銘を受けたようでした。
  空前のペットブームの中、無責任な飼い主もいると聞きます。ペットを迎えたいと思うのなら、最後まで責任を持って世話をする覚悟が必要だと思います。
 さて、今朝もミー太は、私の汗が染み込んだ衣類の匂いを存分に嗅ぎ、満足げな表情をしていました。まるで「ニャンとも幸せだニャー」と言わんばかりに。
  次回は、当院精神科医の髙橋裕哉先生にお願いしました。
 
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