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<ペンリレー>

発行日2019/12/10
秋田赤十字病院  丸屋 淳
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4年に一度じゃない。一生に一度だ。
 
  私が大学に入ってラグビーを始めた年に、第1回ラグビーワールドカップが、ニュージーランド・オーストラリアの共同主催で開催された。先輩たちがオーストラリアに行くのを見て、すごくうらやましく思った。当時私は貧乏学生で、とてもワールドカップを観るために海外に行く余裕などなかった。その頃は、大学ラグビーの人気が絶頂期であり、よくテレビで観戦していたので、日本のラグビーについては見慣れていたが、ワールドカップのゲームを見てあまりの違いに衝撃を受けた。体の大きさ、パワー、フィットネスだけでなく、ハンドリングスキルやキックの正確さなど、あらゆる面で日本のトップレベルを大きく上回っていた。特に第1回大会で優勝したオールブラックス(ニュージーランド代表)は、同じ人間とは思えないくらいで、まさに超人的であった。
  大学を卒業してからはラグビーから離れていたが、2001年に新潟県立小出病院にいるときに、外科の先生に誘われてラグビーを再開した。新潟大学OBチーム(新潟ドクトルカンタ)に入れていただき、熊谷ラグビー場で開催される7人制ラグビーの公式大会であるメディカルセブンス(関東医歯薬大学ラグビーリーグOBチームが参加)に出場した。それなりに若かったので、まだ体が動いて、大変楽しくラグビーをすることができた。
  秋田に来てからは、ドクトルカンタへの練習には参加できず疎遠となった。しかしながら、2012年に私が担当した患者さんが秋田不惑クラブ(40歳以上のラグビーチーム)のメンバーであったことから、2013年の春から私も日曜日に行われる秋田不惑クラブの練習に参加するようになった。メンバーの半数以上は70歳代とお見受けしたが、皆さんのスキルが異様に高く、またターミネーターのようにすぐに復活する体力。「もう年だから」なんて言い訳は一切通用しない環境であった。また、2012年に秋田で呼吸器外科学会総会があったときに、大学時代の仲間と秋田で酒を飲む機会があり、紆余曲折を経て山形大学OBチーム(山形snow monsters)にも加入することになった。2013年から再度、メディカルセブンスに出場するようになった。40歳以上のトーナメント(50歳以上は紺色のパンツ、60歳以上は赤パンツを着用かつタックル禁止、前後半7分ずつ)に参加したが、大学時代に感じていた情熱、興奮、仲間との絆など、いろんなことが思い起こされて胸が熱くなった。体力的にはかなりきついものがあったが、試合後に旧友たちと酒を酌み交わし、幸せな気分に浸ることができた。それから毎年メディカルセブンスに参加するようになったが、2017年に熊谷ラグビー場がワールドカップに向けて改修されることになり、メディカルセブンスは規模が縮小された。残念ながらそれ以降は参加していない。
  2019年に日本でラグビーワールドカップが行われることになり、「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」というキャッチコピーを見て、まさにその通りで、これを逃せば二度と生で観戦できないかもと思った。そこでチケットをゲットしやすくなるよう、2016年10月にラグビーワールドカップ大会公式サポーターズクラブに登録した。2018年1月に満を持してチケットの申し込みを行った。ラグビー経験者枠、マスターカード枠(当選確率が2倍)、カテゴリーAのみ希望(良い席)で、いくつかのパックを申し込んだ。幸いなことに、ニュージーランドパックが当たった(うちの女房はすべて外れた)。あの憧れのオールブラックスを生で観戦できるとは、一生分の運を使い切ってしまったかも知れない。
  2019年7月、ラグビーワールドカップが開催される直前に、テレビドラマで「ノーサイド・ゲーム」が放映された。元ラグビー選手が多数出演しているし、日本代表OBも出演していた。私にとっては特に、廣瀬俊朗元日本代表キャプテンが出演していたこと、アストロズの優勝までの過程が南アフリカが第3回ラグビーワールドカップで優勝したときにそっくりなこと、トキワスタジアムのロケ地が熊谷ラグビー場であったことなど、どストライクのテレビドラマであった。私だけではなく、このドラマを見てグッときた人は沢山いたと思うし、いい意味でラグビーのにわかファンを増やした一因になっているに違いないと私は思っている。ドラマの中で浜さん役をやっていた元日本代表キャプテンの廣瀬さんが、スクラムユニゾンという運動を展開しているということを本で読んだ。みんなで国歌やアンセムを歌ってワールドカップを盛り上げよう!という運動である。私もそれに賛同し、ニュージーランドと南アフリカの国歌をYouTubeで勉強した。
  オールブラックスは本当に素晴らしかった。そしてスプリングボクス、メイプルリーフスカナダ、ウェルウィッチアスも。ワールドラグビーの会長がホスト国の日本を手放しで称賛したことをうけ、日本ラグビー協会はラグビーワールドカップを再招致する意向を示したとのこと。もしかしたら一生に一度ではなくなるのか?
  次回は秋田赤十字病院救急科部長の中畑潤一先生にお願いしました。よろしくお願いいたします。
 
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