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<ペンリレー>

発行日2018/08/10
御所野ひかりクリニック  勝田 光明
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冬虫夏草を求めて
 
  2017年5月 東京から成都に向かい出発、成都は四川省の省都です。三国志時代では蜀の都として、劉備玄徳、関羽雲長、張飛翼徳が桃園の誓いをした場所であり、諸葛亮孔明が軍師と加わって壮大な戦国時代を飾った場所です。三国志ファンであれば、一度は訪れたい場所です。武候祠といわれる祠堂の中に当時の武将を模写した、塑像があり、その奥には劉備玄徳の墓がありました。
  翌日には成都空港から本来の目的地である四川九寨黄龍空港へ出航しました。着陸は標高3447mの高山地帯で、空港には2-3台の救急車が到着して救急搬送がありました。いずれも高山病とのことでした。自分は着陸30分前に五苓散を内服して備えていたため、全く悪影響は受けませんでした。現地で待ち合わせしていたエージェントには着陸してすぐに動けるのは珍しいといわれました。ちなみに空港内には有料の酸素吸入装置も置いてあります。エージェントは比較的高級なトヨタの4WDに乗ってきました。ホテルまでの道のりは、チベットやインドにみられるタルチョ(お寺にある長い5色の旗)を横目に広大な一本道を進んでいきました。遠くには4000m級の山々を眺めることができます。途中には毛の長い巨大な牛が群れをなして悠然と、道路も含め歩いていました。エージェントのうちにも500頭ほどの牛を飼っていて、名産のビーフジャーキーを作っていると話していました。
  ようやくホテルに着いたところ、信じられないほどの高級感でした。そこは政府が九寨溝を観光地にする目的で作ったとのことです。
  3日目には朝早く起きて、九寨溝に向かいました。世界遺産のなかでも一度は見ておきたいと思っていた場所です。絶壁に切りだった細い道をバスで一路抜け、五花海にたどり着くと、息をのむほどの、エメラルドグリーンに染まった湖がありました。水深は20mとのことですが、池底に手が届くほどの透明度でした。高山のためか、次第に気温が低下してさらには雪が降ってきて、あたりはすぐに白くなり、さらに一段とエキゾチックな風景となりました。帰路に就いたあとに、地元主催の舞踊を堪能しましたが、2008年5月に起こった四川大地震をテーマにしたものでした。この時、死者6万9207人、行方不明者1万8194人で未曾有の被害があったようです。日本でも震災、津波、大雨、台風など自然の猛威には人の力など全く及びませんが、どこの国で起こった災害も各国が協力して、復興している姿を見ると、自然の力よりも、協力する力が何にも屈しないことを学ばせていただきました。
  4日目、いよいよ冬虫夏草との出会いです。冬虫夏草とは、オオコウモリガに寄生して発生する菌糸です。5月の上旬でしかも産地でしか取れない生の冬虫夏草はめったにお目にかかりません。チベットの草原に這いつくばりながら、一日中探して、3匹くらいとるのがやっとだそうです。収穫に苦労するだけではなく、周囲にはトラやオオカミも出没するそうです。彼曰く、トラはなんとかなるのだが、オオカミは集団で襲ってくるのでとても怖いそうです。しかも、めったにではなく、たびたび出会うそうです。
  そんな中でようやく、生の冬虫夏草を手に入れ、そして口の中へ!生のシイタケと、生のマツタケと表面だけあぶった蚕の幼虫が混ざったような味です。想像してみてください・・・。その後、無事に帰国。
  2017年8月再び四川、九寨溝に震災があり、九寨溝の水がすべてなくなったとのことです。宿泊したホテルも倒壊してしまったとのことです。彼の無事はメールで確認できました。
  2018年3月には政府の援助で九寨溝も復活したとのことです。皆さんも是非、成都、九寨溝は一生に一度は行きたいおすすめの場所です。
 
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