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<ペンリレー>

発行日2018/03/10
秋田県立医療療育センター  石原 芳人
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定年と近況
 
  昭和57年2月から秋田県太平療育園に始まり新築移設の秋田県立医療療育センターを35年間勤務し続けて、昨年3月31日に定年退職しました。その半年前に退職後のことを相談して、そのまま任期付き職員(フルタイム、1年ごと更新)としてセンターに勤務することが決まりました。終わってみると長い期間同一施設で、よく続いたものだと我ながら感心しました。小生は整形外科医なのですが、一般の整形外科とは異なり、成人や高齢者を診察することはありませんでした。小児整形外科疾患と障害児(主に肢体不自由児)に限られた領域の仕事に特化していました。その後も同一勤務継続とは私もかなりの偏屈者なのでしょうか。何はともかく、無事定年を迎えられたことは喜ばしいことです。
  現在はほぼ正規の時間内での勤務、休・祝日は休みでオンコール当番も免除され、肉体的にも精神的にもとても健やかな日々を送ることができています。老害をばら撒き、職員の邪魔だけはしないように気を付けているつもりです。趣味の家庭菜園も冬の間はほとんどすることがなく、休日を持て余すこともあります。転居により自宅の畑がなくなり、以前より借りていた仁井田のスーパー農園だけとなりますので、他の趣味を探しています。このようなことを考え生活できるのも、他の先生方のお心遣いのおかげと、とても感謝しております。
  定年後の住処に関して妻は表日本側(差別用語)を希望していたのですが、秋田市在住と決めました。住んでいた家は30年経つにもかかわらずほとんど修繕しておらず、水廻りの漏れ、汚れて剥がれかけた壁、隙間風の通る窓、ゆがんだ床などあらゆる部位に修理が必要でしたので、以前より転居を考えていました。渡りに船で建築予定のマンションがありましたので、1週間もたたず勢いで契約しました。マンションでは居室の広さが1/3以下となり、かつ収納スペースはとても少ないので、早速“終活”を兼ねて、家中の荷物整理を始めました。そこで初めて結婚後40年間夫婦のみならず娘3人のものも含め、ほとんど捨てずにしまって(置きっぱなし)いたことに気づきました。この時とばかりに“断捨離”の決行でした。後ろ髪を引かれる思いもありましたが、家庭ごみ、本、金属、粗大ごみを1年かけて思い切って捨てました。娘達を秋田に呼び、分別させ、ほぼすべてごみとなりました。不必要、使わないものがなんと山のごとく多かったことでしょう。小生の年齢に近い先生は、一度終活を兼ねて家の中の荷物(不必要なごみ?)は整理して身軽にしておくことをお勧めします。後々きっと家族にも喜ばれるでしょう。
  昨年11月に引っ越し、マンション生活を送っています。当然すべてがコンパクトで狭いのですが、機能性に優れ、きれいで静か、断捨離で家財は少なくなっても不自由は全く感じていません。集合住宅のためか保温性もよく、夜は暖かく朝起きてもそれほど寒さも感じなくなりました。年々冬はつらい時期になってきていましたが、今年は快適な冬の毎日を過ごしております。何よりも寒く重労働だった雪かきから解放され、持病の腰痛も軽快しています。夏も以前よりは涼しく過ごせることを期待しています。ただ不便なことは、毎朝新聞を取りに1階まで降りなければいけないこと、駐車場がタワーパーキングなので1台出すのに約2分かかり、センサー誤作動のためかトラブルも少なくありません。この待ち時間は風も強く身に応えるのですが、春になると解消されると思います。
  終活とは別にこの数年は夫婦で旅行をするようになりました。まだ健康で動けるうちに多くの土地、外国などと旅行しておこうと思ったからです。今年の正月も、ミャンマー8日間のツアーに参加してきました。ミャンマーは国民の9割が仏教徒で、とても信心深く“パゴダ(ビルマ語ではパヤー)”と呼ばれる仏教の伝統的な建物(塔、寺院、卒塔婆)が国内至るところに沢山あり、この観光が主な内容でした。大きなパゴダは高さが100mを超え金箔が張り詰められ輝いており、とてもきれいで形も美しく感動しました。紀元前から建てられ、時代とともに大きく建て替えられたものもあるとのことで、その技術と信心深さには驚きました。仏像も巨大で、特に70mもある寝仏には圧倒されました。大岩の上のもう一つの岩が鎮座し、落ちそうで落ちないゴールデンロックもこのパゴダの一つで、身動きも取れないほど人々であふれていました。朝の清々しさに心を打たれた水上ホテル、映画“ビルマの竪琴”で有名な木橋も訪れました。現地はまだインフラなど発展途上で、舗装道路はほとんどなく、移動はバスの代わりに飛行機でした。そのため毎日朝5時起きで空港に向かい、飛行機はいつも遅れ昼近くになっての移動となりました。手書きの搭乗券を持ちながらの待ち時間も毎日ありましたが、なぜかほっとする旅でした。アジア地域の旅行は現地人の顔に違和感がなく、ほとんどの食事も口に合い安心感がありますので、お勧めだと思います。旅の回数を重ねるごとに新しい文化に触れ、未知の世界を体験でき旅行の楽しさにはまってしまいました。「仕事が忙しい」、「他の先生に迷惑をかける」などと言っていては、いつまでも旅行などできません。自分などいなくても病院は何も困らない、またそうでなければ病院機能は存続しないブラック企業になると、はじけましょう。
  次回は市立秋田総合病院整形外科の柏倉剛先生にお願い致します。
 
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