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<ペンリレー>

発行日2017/07/10
中通総合病院  三船 大樹
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皆さんは通勤時間に価値を見出していますか?
 
  長い冬に不便な公共交通機関、1人1台マイカーにdoor-to-doorは当たり前の県民性、秋田は足腰の弱った「えふりこぎ」の方が多い地域です。仕事柄慢性呼吸器疾患における歩行リハビリの重要性を勉強する機会は多いのですが、患者さんに指導をすると「雪が融けたら・・・」「梅雨が終わったら・・・」「お盆を過ぎて涼しくなったら・・・」「膝の痛みが良くなったら・・・」と気づけば次の雪が降りだす始末。「今でしょ!」・・・も気づけば今ではないようです(死語)。秋田県は全国で最も歩数が少ないというデータがあるそうです。
  そんな状況を嘆いて俯くと、insidiousに発育したメタボ腹に気づきました。「Everyone thinks of changing the world, but no one thinks of changing himself.」Leo Tolstoyの名言にならい、片道5kmの通勤を自動車から自転車やランニングに変えました。当初は中古車店に陳列した愛車への未練タラタラでしたが、2年も経つとそんな生活に慣れ、今は自転車とランニングシューズが相棒です。お腹についた悪魔も半分ほど駆逐することができました。
  長男が小学校に入学しました。これまで幼稚園バスでの通園だったのに、自宅から1km離れた学校へ、重いランドセルなどたくさんの荷物をしょって登下校しています。1年生が背負うと、甲羅が重くて動けない亀に見えます。最初は「重い~遠い~」と登校拒否の彼も、1ヶ月での体力、走力アップは目を見張るものがあります。彼の鬼ごっこに参加すると、大人気ない本気も、2日遅れの筋肉痛も、隠しとおせなくなってきました。この前ヨウチエンジャーだった彼はどこに?と感じるほど、精神的にもしっかりしてきたような・・・妻は首を振りますが。
  自分もわが子も最初はたいへんでしたが、心身共に鍛えられました。日々の仕事やプライベートの充実感、そして帰宅後のビールの美味さも、グレードアップしました。不眠症も解消しました。病院の呼び出しを心配し「育児放棄」と妻に後ろ指をさされながら、運動時間をつくる必要もありません。雨の日であろうと、カッパをまとい着替えとタオルをリュックにつめ、病院でシャワーを浴びるのみです。
  問題は、やはり雪が積もる冬です。自転車は乗れないので、ひたすら走るしかありません。たとえ吹雪でホワイトアウトし、新雪をラッセルし、アイスバーンで転び、シャーベット雪で足を冷やそうとも、です。大雪で渋滞の車たちを尻目に走り去る優越感と、若かりし頃の合宿のような高揚感に浸れるのは稀で、概ね楽しくはありません。滑って転ぼうものならケガもします(労災?)。疲労がたまって走ることを断念した日はむしろ大変です。なかなか時間どおりにあらわれない路線バスを待ち続け、車内で東京の通勤ラッシュ気分を味わいながら、職場まで1時間かかったことも。仕事が遅くなると帰宅する元気がなくなり、当直手当も出ないのに病院で夜を明かしたことも数知れず。
  将来的に50代からは厳しいかな、と感じています。育児がひと段落した妻がファミリーカーで送迎してくれるかな~と期待しつつ、もうすぐ訪れる40代は、このまま頑張ろうと思う次第です。
  最後に、朝の渋滞にハマってイライラしているドライバー達が、颯爽と通勤している私を目にして、通勤サイクリスト・ランナーが増えてくれることを期待してやみません。相当、自分大好きな内容ですね、すみません。
  次のペンリレーは呼吸器内科の同志、そして食通の秋田厚生医療センター福井伸先生にお願いしました。
 
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