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<ペンリレー>

発行日2016/06/10
はらだ小児科医院  原田 健二
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診断キット
 
  山王八橋班の津田先生からのペンリレーです。津田先生は忙しい診療の合間に新しい治療に挑戦し、その成果を産婦人科学会のランチョンセミナーや国際誌にご発表とそのパワーと研究意欲には尊敬しております。
  さて、この原稿を書いている3月はインフルエンザBが流行っています。診断キットが出現してからというもの当院でも多くの患者に使っています。インフルエンザ出てませんね、と告げるとがっかりする保護者が多いようです。中には、やり方が悪いのでは、と言わんばかりの方もいらっしゃいます。じゃ、この熱は何なんですか、とすこし怒ったような方もいられます。これらの方はインフルエンザと確信し来院した患者にちがいありません。逆にインフルエンザが陽性であれば、こちらもなぜか安心していまいます。

  現在使われている診断キットにはロタ、アデノ、ノロウイルスからRS、ヒトメタニューモウィルス、マイコプラズマ、溶連菌感染症などがあります。私から積極的に行うよりも親からの希望や保育園からの要請で行うことも多いようです。

  申し訳なさそうに、”検査お願いできないでしょうか”という礼儀正しい方もいれば、ムッとしたかんじで”検査しろっていわれた”と、のっけから切り込んでくる方もいらっしゃいます。以前なら、その唐突さをやや不愉快に感じたものですが、最近では私も高齢になったせいかその訳を聞くことにしています。その方の話によれば、元気で熱もなかったが風邪症状を指摘され保育園からインフルやRSやマイコの検査してもらってきてと口頭指示されたための来院とのことです。そのような保護者の中には話し込んでいるうちに感極まって涙ぐむ親もいらっしゃいます。元気だと思って保育園に預けに行ったら、保育園から”咳してますね、熱がなくても今の時期、インフルはいるので”と預かりを拒否されるほどがっかりすることはないのかもしれません。”よかったですね、インフル陰性なのでまた保育園戻れますよ”というと、”いえ、その日一度退出したら再入室はできないんです”とのこと。これまた厳しい。

  診断キットは重要なツールですが簡便に検査でき即座に診断できるが故に、感染症を蔓延させたくないための診断キットを切に希望する保育園、保育園から指示されて来院する家族、必要がなさそうなのに検査を強く要望される医師、の間でトラブルになることもあるとききます。

  秋田市医師会で2013年に保育所感染症マニュアルが改訂されましたが、それに付け加えて、保育園などへの診断キット実施マニュアルのようなものがあったら助かるなあ、なんて思ったりしますが、難しいんでしょうね。

  ペンリレーは秋田大学での小児循環器の仲間で、感染症の臨床研究も積極的に行っている小児科安岡健二先生にお渡しします。
 
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