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<ペンリレー>

発行日2016/03/10
ミチヒロ胃腸内科クリニック  湯川 道弘
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ジャックラッセルテリアと私
 
  私は、小さいころから大の犬好きであったが、実家で犬を飼った経験はあまりなかった。その反動か、大学在学中(学生時代)にはすでに自分の犬を飼いはじめてしまった。初めに飼ったのは、ラブラドールレトリバーでとっても大きくてお利口な犬だったが、躾に難渋して、トレーナーに数か月お預けして教えていただいた。しかし予想通りトレーナーの言うことは聞くが、素人の飼い主の指示には従わない犬になってしまった。お利口な犬は、不慣れな飼い主の指示もわかってくれそうなものであるが、そこまではうまくいかなかった。お手もしない犬だったが、容姿はすばらしく、いつもペットショップなんかにつれていくと、ショータイプだね~、なんてほめられて悦に入っていたものであった。大型犬の寿命は短いと言われるが、この犬は13歳で亡くなった。いろんなところに連れていった思い出のたくさんある犬であった。この犬が亡くなる1年前にもう一匹、小さな犬を飼い始めた。ペットロスを恐れて、もうしばらく犬は飼いたくないなんて言うことのないように、また2匹の散歩は大変かとも思ったが、犬のいない生活は想像できなかったので多頭飼いの生活を始めた。この犬ははるばる三重県から飛行機に乗ってやってきた。生後1か月ちょっとでかなり小さく、ぶるぶる震えながら秋田空港の荷物専用受付から出てきたのを覚えている。
  この小さな犬がジャックラッセルテリアという犬種で、TVコマーシャルに非常に良く出てくる犬なのだが、あまり認識されている方は少ない。散歩に出てこの犬の犬種を当てられる人はよほどの犬好きか、変わりものだったように思われる。知らない方に犬種の説明をするのに、以前は「マスク」というコメディー映画があったがだいぶ古くなってしまったので、今はたとえが悪く、わかりにくくなってしまった。CMには飼い始めた当時から本当に毎日のように出ていて、最近でもトヨタのPウスのCMに出ている。ソフトバンクの真っ白い北海道犬に次いで、たくさんテレビに出演している犬だが、誰も興味がないんだろうかと思うくらい誰も知らない。きっとソフトバンクの犬が北海道犬だなんてことも誰も知らないにちがいない、世間では・・・。しかしそこはそこ、レアものということで飼い主を自己満足させてくれる部分であったりもする。それでも現在は秋田市内でもだいぶ見かけるようになった。
  実はこの犬、小型犬の中で最も頭の良い部類に入る。教えたことはすぐに理解して、覚えてくれる。ただし少々興奮しやすく、いばり癖がある。大きな犬の皮をかぶった小型犬と例えられたりする所以である。もともとテリアなので狩猟犬であったため、ほえてうるさかったり、おもちゃをばらばらにしちゃったりするのはこの犬の本性なのである。しかし、この犬とっても愛嬌があって、非常に表情が豊かなのである、全身で感情を表現するのが普通の犬だが、この犬は顔そのものに表情がある。まさに笑う犬。口元をゆるめて、目尻がたれ優しい目で、こちらをじっと見つめる。(親ばか、気のせい、思いスゴしだと何とでも言ってください)世にもまれな犬種だと自負している。
  この犬が我が家にきてから、1年ちょっと経ったころに、大型犬は亡くなった。犬はもともと群れで生活する動物のせいか、群れのメンバーがいなくなったことをよくわかり、しばらくさみしそうにしていた。毎日散歩に行く相棒がいなくなったのだから、やはりさみしいようだった。亡くなってしばらくして、ちびの奥さんを探そうと思い立った。ひとりぽっちでさみしくないようにと、また多頭飼いを思い立った。そして数か月後、ときどき他県のペットショップでB級犬(失礼です、まったく)をたくさん連れて、地方にどさまわりにくるが、そのなかに売れのこりの?万円均一コーナーに同じジャックラッセルテリア(メス)を発見、多少迷いはあったが、思い切って連れて帰った。はれて、ちびの奥さんになった。しばらく2頭の生活だったが、犬の出産適齢期は早くて、1回目は奥さん犬が2歳くらいでおめでたとなった。犬の妊娠期間は2か月しかなくて、たったの2か月で生まれてくるのにはびっくりさせられた。1回目は4頭、続けて2回目は3頭で、安産ですべて秋田県内で飼われている。出産してかわいい赤ちゃん犬が見られるのはとってもうれしいことで当家子どもたち(人間)もかわいがり、近所の方や、飼い主さん候補もたくさん見に来られ、たくさんかわいがってもらった。かわいいのはよいが、すべて残すわけにはいかないので飼い主探しは大変であったし、それぞれ引き取られていくさみしさも残った。最後は飼い主探しのネタがつきたので、3回目は断念した。この7頭のうち、1匹がうちに残ったが、一番いいのを残したわけではなく、一番悪い引き取り手のなさそうな、ボーっとしたのを残した。飼われてから捨てられたり、飼い主の言うことを聞かず邪険に扱われたりするのが心配だったので、ボーっとして一番頭の悪そうなヤツを引き取ったつもりだった。(が大きくなった今は、まったく普通でお利口な犬に育っている。)これで3頭になり、当家マックスの3頭のまま、しばらく過ごしたが、昨夏、お盆過ぎに父犬(前出ちび)も亡くなった。今は母子の2頭飼いの状態。ちびは、頭はジャックラッセルの割にはもう一つだったが運動能力はすばらしかった。ボール遊びも子供たちとよく遊んだ。サッカーボールで高速ドリブルや、野球のノックの相手なんか得意中の得意だったと思う。晩年はよれよれであったが、最後までゆっくりでも歩けていたのが幸いだった。幸せな犬だったと思う。
  私の生活の中で、犬を飼うことは、大きな割合を占めている。犬を飼うことで生活に多少の制限はできてしまうが、飼う喜びはそれ以上であり、これからも、ずっと犬たちと一緒に暮らしていきたいと思っている。
  もしジャックラッセルテリアをご存じでなかった方がいらっしゃったら、今度は注目してテレビをご覧いただきたいと思う。きっとテレビに出てこない日はないくらい出てくるはずである。
  次は私が秋田大学に在籍中、お世話になった大先輩であり、最近土崎で開業された堀江泰夫先生にお願いしました。
 
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