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<ペンリレー>

発行日2015/01/10
御野場たなかレディースクリニック  田中 秀則
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酒飲みが、お米を炊いてみたら…
 
 だいたい、酒飲みは、お米を、あまり食べません。私は、もちろん、酒飲みであるけれども、夕食時は、米粒を食することは、ありません。よく、「晩酌は、しますか?」と、聞かれることが多いのですが、酒飲みの私にとって、お米の汁でつくられたお酒は、主食であるし、もはや、「晩酌」という言葉自体、私には、関係のないもののように思えます。
 そんな私が、お米を食べてみよう!と、考えるのは、やはり、新米の時期です。秋になると、街のあちこちに、「新米」の「のぼり」が立ち、心が躍るのですが、酒飲みの、いいえ、酒から離れられない私が、なんとか、休肝日にできそうなのは、この時期なのです。
そこで、なんとかおいしい新米を食べて、少しでも、米の汁を忘れようとの思いで、お米を炊いているのですが、今回は、皆様に、おいしいお米の炊き方を伝授いたしましょう。

 秋田のお米といえば、「あきたこまち」が有名ですが、酒飲みの私が好きなお米は、秋田産「ササニシキ:以下、ササ」です。ササは、こまちに比し、温度管理が難しいために、栽培が大変なのですが、本荘由利仁賀保地域では、比較的温暖な地域であるため、「ササ」の作付面積が多いようです。皆さんの好きなお寿司屋さんの「天駒」さんのシャリは、「ササ」の古米を使っています。ササの特徴は、お米が冷えてもおいしいこと、さらっとしていること、そして、刺身との相性が抜群であることです。今度、「天駒」さんに行ったときに試して欲しいのですが、「天駒」さんのシャリは、ほんの少し糠のにおいがあるのです。これが、シャリにのせる刺身の臭さをとり、お寿司として握ったときに、刺身とササの一体感が生まれ、あのように、うまいお寿司ができるのだと思っています。
 ところで、そんなササは、どこで、手に入るのか?と、思いでしょうが、そんな酒飲みの米通にうってつけのお店が、大町にある「平沢商店」です。ここの御主人は、お米のプロで「五ツ星お米マイスター」ほか、様々なお米の資格を持っています。ここの店には、常時10種類以上のお米、高い精米技術、など、さながら、お米の総合博物館のような感じです。秋田産のあきたこまちも、契約農家で栽培している特別なお米です。具体的には、稲穂の間隔を少なくし、日当たり、水はけを考慮し、健康で強い稲を栽培しているのです。「お米は、魚沼産コシヒカリが、最高だよ!」と、言う方は多いと思うのですが、秋田にも、仁賀保産コシヒカリも美味しいし、鹿角産「淡雪こまち」は、食べてみると、お口の中で、淡雪のように、サーと溶ける食感が面白いです。同じこまちでも、秋田県の中で、地域の違いや、さらに、天日乾燥をした特別なお米もあります。さらに、高性能精米機を使用した「分づき米」といって、玄米から、白米まで、お米をお好みで精米することができます。私のお気に入りは、「7分づき」です。このレベルだと、お米はうっすら茶色で、胚芽が残り、栄養価が高く、食べやすくおいしいです。ちなみに、「お米は、玄米を食べている」と、言う方も多いと思うのですが、玄米であると、お米を全く精米していないので、やはり、残留農薬が気になるところです。でも、そんなコテコテのあなたにも、平沢商店には、合鴨農法仁賀保産こしひかりが、お勧めです!これは、農薬を使っていない農法です。これで、1キロ860円です。

 さて、酒飲みの私が、平沢商店で購入したお米は、炊かなければなりません。最近の炊飯器と言えば、「南部鉄器」を使用したものとか、「真空炊飯」を売りにした炊飯器が販売されており、中には10万円を超える高級なものまでありますが、そんなものは、必要ありません。酒飲みの私が、お米を炊いているのは、どこの家庭にでもある「土鍋」です。それでは、「実践 酒飲みの、酒飲みによる、酒飲みのためのお米の炊き方」を説明します。

1.お米の研ぎ方
 新米で、精米したてのお米は、通常の研ぎ方は、不要です。三回ほど軽くお米を洗いながら、まだ、お米の研ぎ汁が白い程度で十分です。土鍋に洗ったお米を入れて、1時間は浸らせておいた方がいいでしょう。お水は、やはり、水道水よりは、ミネラルウオーターがいいと思います。その際は、「エビアン」よりは、「南アルプスの天然水」の方が、日本のお米には、合っていると思います。お米は、品種、天候、室温によって変わりますが、米1合の水200-220ml、すなわち、お米3合だと600-660mlです。ここで、賢明な皆さんは、新米では、お水が多すぎるのでは?と、感じる方も多いと思いますが、この水加減は、あくまで、「土鍋バージョン」なので、注意してください。
2.実践 お米の炊き方
 土鍋にいままで説明したお米をセットしたら、お米を炊いてみましょう。ここで紹介する炊き方は、ガス、もしくは、プロパンによる炊き方です。オール電化で、お住まいの方は、カセットコンロで、試してみてください。さて、お米の炊き方の基本ですが、「はじめちょろちょろ中ぱっぱ赤子泣くとも蓋取るな」です。これは、はじめは、弱火にしてから、しだいに、火を強くすることを、示唆したものです。よく、ネットでは、最初から、中火から強火で、開始していい、と、書かれているのがありますが、このやり方だと、炊きムラができてしまいます。それで、酒飲みの炊き方方法は、「はじめ、弱火1分、中火にして、沸騰まで」が、第一段階です。ちなみに、この炊き方は、米三合の場合です。米4合以上の場合は、火を強くする必要があります。ここで、沸騰とは、土鍋の蓋の穴から、蒸気が十分に出ている状態です。さて、第二段階は、「沸騰して、2分そのまま保持、その後、弱火にして、5-8分」です。ここで、人間の感覚が必要になります。弱火にして、沸騰時の蒸気が減るのですが、ほとんど、泡がなくなるちょっと前までで、5-8分にしています。ここは、みなさんの感覚にお任せします。蓋を取りたいのですが、「赤子泣くとも蓋取るな」で、頑張ってください。ここの弱火5-8分が終わったら、最後の火入れ10秒間の強火にします。ここの強火は、焦げてしまいそうで怖いのですが、この最後の火入れで、おこげができます。この最後の10秒の強火は、昔で言えば「最後に、ワラを一束くべる」ことですが、これで、余分な水分を飛ばす働きがあります。昔の方は、「そこへばば様飛んできて、わらしべ一束くべまして、それで蒸らしてできあがり」と、言っていたようです。強火のあと、蒸らし10-15分を行います。
3.実食
 土鍋の蓋を取る瞬間は、ドキドキします。蓋を開けたとき、湯気の中に、ふっくらツヤツヤのお米を見たときは、感動します!ご飯をお茶碗にもって、食べてみてください。新米のご飯には、筋子もタラコも、お塩すらいりません。お米本来の味を十分、堪能してみてください。
4.最後に・・・
 さて、みなさま、いかがだったでしょうか?お陰様で、私も、休肝日は、年間で、4日→5日くらいに増えました!それでは、今日も、おいしいご飯を食べていきましょう!

 次にペンリレーは、橋田直久先生へ、お願いしましたので、よろしくお願いします。
 
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