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<ペンリレー>

発行日2014/11/10
米山消化器内科クリニック  米山 和夫
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盛岡を紹介します
 
 いつもお世話になっている、同じ秋田南班の加藤先生からご紹介いただき、はじめてペンリレーの原稿を書かせていただきます。しかし何を書いたものか、血液型B型の割に(?)あまりマニアックな性格でもなく、人様にご紹介できるような、いわゆる「すべらない話」も持ち合わせず、正直困ってしまいました。そこでややありきたりですが、自分の生い立ちの中で秋田の次に長く過ごした街、盛岡のご紹介をしてみたいと思います。
 私は大学生と研修医時代の都合9年間を盛岡で過ごしました。ご存知の通り、盛岡は秋田から2時間程度と、日帰り小旅行をするには手頃な距離で、いまでも時々遊びに行きます。
 まず盛岡の街全体を眺めるには「岩山(いわやま)」に登ります。街の中心からほどない距離にあって、小高い丘のような高さで、頂上まで車で行くことができます。夜景スポットにもなっているため、夜もなかなか賑わっています。
 盛岡の街の中を3本の川が流れ合流していますが、特に中津川沿いの遊歩道が気に入っています。あまり整備しすぎていない自然な歩道で、川風に吹かれながら子供と一緒にゆっくりと散歩するのは気持ちが良いものです。この川にかかる「上の橋(かみのはし)」のたもとに、研修医1年目に住んでいた寮(かなり厳しい建物)や、研修医達が夜な夜な集まった焼肉屋(かなり美味しい焼肉冷麺)があり、私の思い出の場所でもあります。また道沿いには「野の花美術館」という深沢紅子画伯の小さな美術館があります。可憐な野の花を描いた水彩画は、穏やかな気持ちにさせてくれます。
 中津川から少し歩くと、「肴町(さかなちょう)」というアーケード街があります。子供のころ盛岡に住んでいた父親によると昔は賑やかだったようですが、いまは何となくのんびりした商店街です。その端っこのそば屋さんが、我が家の昼食の定番です。盛岡のおそばといえば、ご存知わんこそばです。小学生の娘はやりたがりますが、子供3人でやったら大騒ぎ必至なので毎回却下です。因みに私自身は20代後半で108杯の記録で、また大食いチャンピオンで一世を風靡した風間君は大学の同級生でした。店に入る前は、出し巻き卵などつつきつつにしんそばでも・・・と、思っているのですが、お品書きを眺めて「かつ丼」の文字を見た瞬間に、もうだめです。いつの頃からか自分には「かつ丼やカツカレーを素通りしてはいけないだろう、男として」という妙な強迫観念があるようで、条件反射的に注文をしてしまいます。結果、毎回注文を変更することになり、妻にあきれられています。
 食事の後は街中をぶらぶらします。岩手公園(盛岡城跡公園)はそれほど大きくない公園ですが、石川啄木の「不来方のお城の草に寝ころびて空に吸われし十五の心」の歌碑が立っていたりして、なかなか趣があります。公園を抜けて繁華街に入り、書店、アウトドア用品店、雑貨店と回りながら駅の方向に向かうと、今度は北上川が見えてきます。よく盛岡の風景でテレビに映る「開運橋(かいうんばし)」から北の方角を見ると、岩手山が雄々しい姿を見せています。北上川は中津川より急な流れで、護岸工事もしっかりされたやや大きな川です。やはり遊歩道があり、そこを歩きながら「材木町」を目指します。ここは私が学生時代にはじめて下宿した馴染みの街です。そろそろお茶でもしようか、と川沿いの「光原社」に入ります。観光案内でもよく出てくる店ですが、宮沢賢治が童話「注文の多い料理店」を発刊した元出版社で、この社名も賢治が名付けたとのことです。今はギャラリーや喫茶店や土産物店になっています。細長い敷地の中は、川岸まで中庭になっていて、古風な建物が独特の雰囲気を作り出し、まるで童話の主人公が出てきそうです。初めて来た約30年前とほとんど変わらず、時間の流れが止まったような不思議な心持ちになります。
 夕方になったしそろそろ帰ろうか、となると、ほぼ必ず「福田パン」に寄ります。大きめのコッペパンに、自分の好きなジャムやクリームや総菜を注文しはさんでもらいます。ウィキペディアによると具材の数は約40種類もあり(しかしウィキペディアって何でも書いてあるな)、しかもその組み合わせも可能なので、かなりのバリエーションがあります。盛岡一高出身の同級生によると、福田パンはじゃじゃ麺とともに盛岡のソウルフードなんだそうです。ふかふかのパンを、車中で頬張りながら帰路につきます。
 とりとめのない観光案内みたいになってしまいすいません。でも書いていたら、また行きたくなりました。これから散歩には良い季節、また行ってみることにします。
 次回は同じ消化器内科で、お世話になっている及川圭介先生にお願いしました。
 
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