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<ペンリレー>

発行日2013/10/10
秋田組合総合病院  小林 孝
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アキレス腱断裂を受傷して
 
私の体は意外と頑丈で、学生の頃、サッカーをしていてもほとんどけがをした記憶がありません。47歳となりましたが自分だけは決してけがをしないという根拠のない自信がありました。
平成24年12月に行われた大学主催の忘年会のとき、後輩の先生方からサッカーの試合に出るよう勧められました。最近、秋田大学整形外科はスポーツが盛んで、マラソン、バスケット、バトミントンなど積極的に参加し、盛り上がっていると伺っていました。まだまだ若い先生方に負けるわけがないという、やはり全く根拠のない自信があり、カズもまだ現役でできていることから、二言返事で参加することにしました。
翌日の日曜日に早速フットサル(昔はサロンフットボールといっていました)の練習に参加しました。一緒に参加した1年後輩の田村先生(今村記念クリニック)に“アキレス腱切らないでくださいよ”といわれましたが、自分だけは切るわけがないと思っておりました。10年ぶりにボールを蹴るわりには、我ながら動きが良く、行けるかもしれないと自信が湧いてきておりました。
さて、人が集まり、早速試合開始となりました。最年長の私は、FWを任せて頂き更にテンションが上がりました。キックオフの時の高揚感は最髙でした。FWですので私に若者(消化器内科?20歳代?)がマークについていました。開始して1分たったかたたなかった位の時に、田村先生からのスローインを受けようとダッシュしたところ、後方から右足関節後方を叩かれた感じがしました。“バックチャージするなよ”と振り向きましたが誰もいません。“まさか、これは!!!”。後ろを振り返りながら、体をねじるようにして転倒するときに、足関節を底屈位にするように手を添え、転がりました。汗をかく間もありませんでした。アキレス腱に圧痛有り間違いなくアキレス腱断裂でした。Thomasテストは痛いのでやることができませんでした。早速、石川先生(現在スウェーデンに留学中)がギプスを持ってきてくれ、巻いてくれました。ギプスを巻いてもらうと、車の運転ができ、通勤はなんとかなりそうでした。
アキレス腱断裂の治療には手術治療と保存療法があります。以前友人(外科、   安井應紀先生)がアキレス腱断裂を受傷したとき、大学の髙橋周先生(私と同級生、宮城で開業中)が保存治療をすると聞いて手術するべきだと主張したことがあります。周先生に“まあ、落ち着いて・・・”といわれ口を挟むことを拒まれました。結局、安井先生は保存治療で無事社会生活に復帰することができました。この時にアキレス腱断裂の保存治療を勉強し、以後私も保存治療のみをしておりましたので、自分も保存治療を選択しました。
ここからの2ヶ月間はまさに戦いでした。翌日脊椎の手術があり、立たなければできませんので、試しにヒールをつけてみると、意外と痛みが軽減したので1時間の手術は可能でした。すぐに装具を注文し、3日後には届きましたので装具治療を開始しました。装具は歩くには楽ですが、車の運転はできませんので、通勤用にギプスシャーレを作成しました。家ではシャーレを装着して、園芸用の膝パッドを購入して四つ這いで移動して生活しました。雪かきできずに家族の冷たい視線を浴びましたが、1日も仕事を休むことなく、手術を中止することもなく、誰にも迷惑をかけずに(と思います)、2ヵ月後に装具を外すことが可能でした。受傷後8ヵ月の現在、つま先立ちも可能で経過良好です。
今回の経験からたくさんのことを学びました。1.早期に全荷重してもアキレス腱部に痛みはほとんど感じない。2.ギプス治療中、運転は可能である(右足の断裂でも)。3.装具治療中も、自宅で固定するためにギプスシャーレを処方した方が良い。4.アキレス腱断裂治療中、仕事を休む必要は無い。立ち仕事も可能。5.装具治療は2ヵ月と長期に及ぶが、外して風呂に入ることも可能なので慣れると意外と楽。6.患者さんには手術と保存治療の両方を話すが、私が保存的に治療したことを話すと全員保存治療となる。
秋組の皆さん、大学蹴球部の皆さん、家族の方、ご心配おかけいたしました。完全復帰していますが、もうフットサルはしません。すみません。
ペンリレーの次回は、山王整形外科で開業している湊貴至先生にお願いします。
 
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