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<ペンリレー>

発行日2013/04/10
鹿嶋医院  鹿嶋 雄治
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柿食えば・・・
 
 アロマ研究所でやさしく微笑んでいる長沼晶子先生からバトンをいただきました。ペンリレーは皆さん趣味のお話が多く、「仕事が趣味」の小生にとって最も苦手な原稿です。アロマの「香り」部分のバトンをお受けし、職業上の「香り」の話題で務めを果たしたいと思います。
その患者さんはこれ以上ないというほどの苦悶の表情で来院します。受付で「どうしましたか」の問いに、「便が出なくて・・・」。待合室はガラガラなのにその人達はけっして座って待つことはありません(できません)。すぐ受付嬢(?)から看護師(Ns.)にサインが発せられます。ただちにNs.が小生の耳元でつぶやきます。「先生また来ました」、「じゃ隣の診察室で横になってもらって」。簡単に病歴を聞きお薬手帳を拝見。「○○先生から○○○ニドが処方されていますね。どうして○○医院に行かないの?」。「先生は肛門が専門と聞いたもので」。「これは肛門の病気ではなく便秘が悪化した結果おしりが痛くなっただけでしょ! かかりつけの先生に行きなさい!」と叫びたくなる気持ちをぐっとこらえ直腸指診。そこに癌があることはなく、多量の岩石もしくは巨大なお団子が充満しており、患者さんの来院目的である部位は悪戦苦闘の末むくみにむくみ、バーボンウィスキーFour Rosesのラベルのような状態になっているのです。この間に手慣れたNs.連中は内視鏡室で摘便と浣腸の準備にとりかかっています。どうやら彼女らも不公平にならないように「摘便当番」を決めているようで、「エンゼルセット」ならぬ「摘便セット」も用意されています。見上げた職業意識! 大変立派なことですが小生は「摘便手当」などというものを出すことはありません。患者さんにとって忍耐の時間が終了、トイレですっきりし来院時とはうって変わって爽快感に満ちた表情でお礼を述べ帰路につくのです。
秋になり柿の実が色づいてくると、またあの季節がきたなと警戒体制に入ります。この時期は柿を食べて宿便になる患者さんが実に多いのです。渋柿に含まれるタンニンが便秘の犯人なのですが、渋抜きが終わる晩秋(タンニンは抜けません)、柿が豊作の年は要注意です。この季節になると院内に「柿注意報」なるポスターを自作して掲示するのですが効果がなくやめてしまいました。昨年摘便した19人のうちなんと8人が11月と12月の二ヶ月間に来院していました。なかには「去年も来たじゃない!」という強者もいて、「昨年で懲りたので今年は干し柿だけ食べていました」とのこと。読者の方々もご注意あれ!

柿食えば やがて哀しき 摘便寺

便秘で苦しんでいる間に駅伝は最下位になってしまいました。このリレー、過去3回は女性医師で引き継がれていたようですので秋田組合総合病院麻酔科の東海林 圭先生に挽回をお願いしました。
 
 ペンリレー <柿食えば・・・> から