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<ペンリレー>

発行日2012/06/10
高橋正喜クリニック  高橋 正喜
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大曲姫神山山行
 
わたくしが所属する中通二班の三浦利哉先生からバトンを受けました。
当初鳥海山関連の話題を考えていましたが、以下のようなお話となってしましました。

中通総合病院での長くなった勤務医生活をそろそろ終えてゆっくりした診療スタイルで仕事をしたいと考えていた頃から、わたくしの興味の対象は徐々に野山やそこにある植物へと移っていきました。平成4年から週に一度の大曲中通病院循環器外来を担当し、毎週一回仙北平野の西に構えている西山-通称姫神山-の四季の移ろいの様を眺めて十年ちかくにもなっていたこともあるのでしょう。春の新緑、山桜、こぶしが点在するさまは、まさに山笑うと形容されるものでした。そして、山茂る深緑を経て、山粧(よそお)う紅葉の季節、すっかり落葉し山眠る冬、四季折々の西山を眺めながらの通勤でありました。

平成14年の開業後は毎年春の連休のあたりには姫神山を訪れています。カタクリの花、キクザキイチゲ、ニリンソウなどのよく言われるスプリングエフェメラルや点在するイカリソウ、ムシカリの花を愛でながらのトレッキングは冬の塞いだ気分を一掃し、春の爽快な気分へと導いてくれる我が家の行事となりました。そして毎年恒例の山行への準備ともなるものでした。

それまでの自分は趣味といえばただただゴルフでした。勤務医としては驚異的なラウンド数(年間56ラウンド)を誇った時期もありましたが50歳を前後して少しずつ体調の変化がでたのか、よく言うAndropauseの季節に入ったのでしょうか。鳥海山オタクといえば大袈裟ですが、ゴルフ日以外の休日は鳥海山の山頂目指してのトレッキング、天候が許さなければ鳥海山麓の自然観察とわたくしの生活は様変わりしたのでした。高山の山野草や樹木の同定は、デジカメに収めた画像とその手の図鑑との突合せであり飽きのこない楽しい作業でもあります。

平成13年から続いている春の姫神山登山、今年は気候の影響もあり数週間遅れの5月13日になりました。当日は予報に全く反し快晴の朝となっており、山だなと一言、大急ぎで準備、鳥海山祓川を考えていた自分、姫神山登山を考えていた妻、高速に乗るまでにそのことが判明、雲行きも怪しくなり、本荘方面行きから大曲方面行きに変えたのでした。高速を降りて約10分ほどで姫神公園に到着します。ここは季節を通して大曲近辺の人たちに親しまれている仙北平野を見下ろす憩いの場になっているのです。

ここで、姫神山について少々の情報提供をしてみましょう。
秋田市から国道13号線で南下し刈和野を過ぎ、神岡に入る辺りから右手に見えてくる山塊があります。特に目立つのが最も北側に位置するおむすび山と呼んでいる神宮寺岳で、左右対称の形のいい山容です。この山塊は旧大曲市のほぼ西に位置しており昔から西山と呼ばれており、特にその存在は世界的な建築家であったドイツ人のブルーノ・タウトの絶賛により広く知られるようになりました。昭和11年の冬に丸子川から眺めた西山の景色に大いに感動し著書「日本美の再発見」で賛美したのです。その山塊の中でもっとも高い山が大平山通称姫神山ですが、今は無粋にも山頂にはテレビ塔が3基並び立っております。

姫神公園は標高100mほどにあります。そこから山頂までは標高差約300m、標識によると距離にして2.1km所要時間は70分とあります。新芽が芽吹き、淡い緑が目に沁みます。特にコナラの新緑は淡い薄緑で遠くからもそれがわかります。登山道はよく整備されており、緩い坂道が続きますが10分ほどで展望台に到着、以後は高低差のある道が続きます。
ムシカリの花は終わっていましたが、ミヤマガマズミの白い花がそこかしこに見られました。コシアブラの大木を発見して感嘆、それにしてもホウノキの葉っぱはでっかい。

山頂に近づくにつれ、シラネアオイ、オオバキスミレ、ニリンソウが現れ、そして初めて見るチゴユリにも会うことができました。山桜はまだ咲き残り白い花を付けたヤマナシの木の美しさにも感激して、いよいよあと500mほどで山頂です。ここからが一番のきつい上り坂、190段続きます。休み休み20分ほどをかけついに388mの山頂に到達です。ここまで、2.1km、2時間半の行程でした。
当日は気象予報通りの曇天となりましたが、仙北平野は一望です。好天に恵まれれば、東に御嶽山、真昼岳、和賀山系、駒ヶ岳、そして西には高尾山、出羽山稜、南に保呂羽山、遠くに鳥海山、北には太平山連峰の山々が展開します。
簡単な昼食後に下山です。山菜取りの人々、山好きの人たちとすれ違いますが、お互いの挨拶は気持ちのいいものです。途中、大きなカモシカにご対面、不動でじっと見つめるのがカモシカの本性とか。

この日は、登り始めが11時少し前、姫神レストハウスに帰ったのが午後3時20分でした。
振り返り見る山頂、心地よい疲労感と達成感で満たされます。  
 ゴルフも楽しいが、山登りもまた楽し。

 わたくしからのバトンを快く受け取ってくれたのは、桜の高橋文夫先生、高校三年時の同級生です。文夫先生、宜しくお願いいたします。
   
 
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