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<ペンリレー>

発行日2011/10/10
さんのへ耳鼻咽喉科クリニック  三戸 聡
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VIVA!MEXICO!
 
 メキシコ?なぜメキシコ?ってよく聞かれます。地球のほぼ裏側。私にとっても以前はなじみの無い国でした。大学院生時代の夏休みに、秋田から出発して乗り継ぎのいい外国を探していたところ、偶然見つけたのがメキシコでした。一度気に入るととことんハマってしまうのが私の性格で、片道16時間のフライトにもかかわらず、その後も毎年のように訪れ、気がつくと5回も行っておりました。私のメキシコ好きに途中から妻もつきあわされてしまった結果、新婚旅行もメキシコ、ウエディングケーキもメキシコ国旗(あとで判ったのですが、これはメキシコでは国旗侮辱罪になるらしい…)という有様です。
さて、意外と知られていないメキシコですが、実はとても素敵な国です。世界遺産はなんと36カ所と見所満載。食事も脂っこいものと辛いものが大好きな私には毎日飽きずに食べられます。おまけにビール天国。メキシコビールといえば日本ではコロナが有名ですが、現地で一番飲まれているのはXX(ドスエキス)。青い空の下でライムをぎゅっと絞って飲むそれはまた格別です。
 では、「世界遺産」、「ビール」、「脂っこい料理」と私の大好きなものがそろっているこの国の見所をほんの少し紹介させていただきます。まずは、首都メキシコシティ。かつて侵略したスペイン人が、アステカ帝国の神殿や宮殿を埋め立てて作った都市とのことですが、なるほど、バロック風の建築物の隣にアステカの遺跡があったりとなかなかおもしろい街です。街歩きをするだけでも飽きません。特におすすめなのは「国立人類学博物館」です。世界遺産だらけのメキシコですが、じつは重要な文化財はそれら遺跡にはほとんど無く、この博物館にすべておさめられております。とにかくその収蔵品の量と質は眼を見張るものがあります。しかも貴重な文化財がやや無防備に展示されている、「これ、本物の出土品だけど触っていいの?」といった感じです。
 メキシコシティからほんの少し足を伸ばすと、テオティワカン遺跡があります。世界で3番目の大きさのピラミッドがあることで有名ですが、なんと紀元前2世紀ころに作られたものだそうです。遺跡に近づくと、サボテンの合間になにやら建造物がみえてきますが、近づくにつれてその巨大さが明らかになります。それはピラミッドというより山のようです。(写真:月のピラミッド)南北に2Km貫く大通り「死者の道」を中心に、2つの大きなピラミッド「太陽のピラミッド」、「月のピラミッド」をはじめとした壮大な建造物が点在しております。私が行ったのはちょうど春分の日に近く、大勢のメキシコ人が「ピラミッド登山」をしておりました。どうやら春分の日は一年中で一番、太陽からのエネルギーがもらえると信じているようで、とにかく人、人、人でした。私も登頂を目指しましたが、高度2000mの希薄な空気はさすがにこたえ、断念しました。それにしても貴重な世界遺産を観光客に登らせ放題にしているメキシコのおおらかさには驚きです。
 メキシコシティから飛行機で2時間程度のフライトでカリブ海のリゾート、カンクンがあります。(写真:どこまでも続くカンクンのビーチ)20Km続く細長い純白の砂州の上に高級ホテル、大型ショッピングモールが立ち並ぶ巨大なリゾート地です。初めて訪れたときはその海の色に息をのみました。コバルトブルーというより蛍光ブルーに近いその青は信じられないくらいに輝き、「世界一美しいビーチ」に偽りはありませんでした。この「青く光る海」を見るたびに気分が高揚し、日常の心配事や嫌なことをすっかり忘れさせてくれました。慣れない異国の地では一人歩きは不安なことが多いのですが、ここカンクンでは道路は一本道で、方向音痴な私の妻でも迷いようがありません。おまけに「約60円乗り放題」のバスが深夜まで数分おきに走っているので、どこへ行くにも快適です。ホノルルやラスベガスのように時間通りに来ないバスを待つ必要もありません。ただし、このバス、とにかく運転が荒く要注意です。さらに時々、陽気なマリアッチが楽器をかきならしながら乗り込んできたりすると車内はもう騒然です。
 カンクンを起点に乗り合い船で沖合の島「イスラ・ムヘーレス」への一日トリップ、イルカに乗れる海のテーマパーク「シカレー」、モーターボート(日本では要免許)を自分で運転していく「ジャングルツアー」など何日いても飽きないアクティビティーが満載です。ちなみに、私、ジャングルツアーで追突事故を起こし、船を一艘壊してしまいました。カンクンの青い海以上に青ざめた私でしたが、でもそこはおおらかなメキシコ、「No hay problema(問題ないよ)」でした。
 カンクンからは有名なマヤ文明の遺跡、チチェンイッツアに行くことができます。車で3時間弱(注:現地人の制限速度無視の運転で…)、それは熱帯雨林のなかに突如と現れます。一番の見所は「エルカスティージョ」、つまりピラミッドです。(写真:チチェンイッツア)。東京ディズニーシーの某アトラクションさながらのこのピラミッドは正確に東西南北に面しており、各面につけられた階段は91段。4面で364段。頂上の一段を加えて365段。なんと太古の昔に一年を365日と知っていたとは、マヤの天文学、恐るべしです。そしてその階段の下にはなぜか蛇の頭だけが。実は秋分の日と春分の日にこの蛇の胴体が影になって現れるという仕掛けが。さらに、このピラミッドの内部には数個のピラミッドがマトリョーシカのごとくはいっており、その内部のピラミッドにものぼれるという。(実際のぼってみましたが、暗くて、カビ臭くて、しかもヌルヌルな急階段でとても辛かった。)ピラミッドの他にも天文台があったり、神殿があったり、聖なる泉(セノーテ)があったりと、考古学好きでない私までもが虜になってしまった遺跡です。
 ほかにもまだまだたくさんの見所があるメキシコですが、またの機会に紹介させていただきたいと思います。先日、「世界アレルギー会議」が12月にカンクンで開かれるというレターが届きました。国際学会デビューした思い出の学会でもあり、本気で行こうかと考えたのですが….新米開業医がそんなことできるわけも無く、断念しました。2007年を最後に訪れておりませんが、またいつか太平洋を横断してメキシコに行ける日が来ることを信じております。ちなみに当院の待合室の壁のペンキはメキシコの建造物にある配色を参考に塗りました。受付の壁には現地で調達した“プエブラ焼き”のタイルが埋め込まれております。ぜひ見にいらしてください。
 次は、いつもお世話になっている「お隣の眼科」の早川祐貴先生にお願いしました。先生も旅行好きなようです。
 
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