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<ペンリレー>

発行日2010/08/10
御所野ひかりクリニック  勝田麻里子
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幼稚園もところ変われば・・・
 
 私は、日本の幼稚園の経験がない。父の転勤で、フランスに5歳から7歳まで滞在したためだ。幼稚園は義務教育ではないので、地域によって教育方針などが異なると思う。日本でも最近は、外国人の先生でほとんど英語を話すような幼稚園や、運動や読み書き、お稽古などもやっている幼稚園など、様々なものがあるようだ。
 フランスに転勤した場合、日本人学校という海外転勤できた日本の子弟のための学校が存在する。そこでは、日本の文化に近い形で教育をする。必ずしも日本人学校に通学する必要はなく、我が家ではフランスにいるからにはフランス文化に対応していくという教育方針だったため、私は現地校にはいった。当然フランス語のみの生活である。
 当時まだ5歳だった私は、トイレの仕方「ピピ(おしっこを意味する)」「カカ(大便を意昧する)」の単語を教えられ、まったくフランス語ができないままフランスの幼稚園に、飛び込んだ。かなり前のことなので、記憶はあいまいだが、母によると子供の環境適応はすばらしく早く、すぐにフランス語の歌などを覚え大人よりも発音はよかったようだ。歌った歌声がテープにのこっていて、きいたことがあったが非常に流暢で、びっくりした。現在フランス語は、挨拶程度でほとんどできなくなってしまったが、子供の能力は恐るべしである。
 さて本題の幼稚園の話に戻ろう。私のいっていた幼稚園は、たしか小学校と同じ敷地にあったと思う。私立の女子学校だった。フランスでは園服はない。各々普通の洋服で登園する。バスも当然ない。父親が出勤前につれてくるか、母親または御手伝いさんなどが連れてきていた。園内にカラフルな遊具などがあった記憶はなく、早く園につくと中庭(といっても、芝生などがあった記憶はない)で、鬼ごっこなどして走り廻って遊んでいたようだ。私は、母に連れられていくことが多かったが、何故だかいつもぎりぎりの登園で、残念ながら中庭で遊んだ記憶がほとんどない。幼稚園に給食もなく、持参するか、昼ごはんを食べに家に戻っていた人もいた。お遊戯会のような、ダンスの発表会は年に1回あったが、遠足・運動会などの行事の覚えはない。個人の生活リズムを大切にするフランスではあまり集団で行動する行事は少ないのかもしれない。その分、家族での時間を大切にするスタンスであり、夏休みは長期だった。
 フランスで遊ぶところは、公園である。木馬のメリーゴーランドや人形劇の劇場があり、緑の多い広々とした公園だった。(秋田でいう千秋公園などのような、老若男女の憩いの公園である)そこで、メリーゴーランドにのったり、走りまわったり縄跳びをして遊んだ。幼稚園や公園に、鉄棒や遊具の雲梯はなく、みたことがなかったので、日本に帰ってきて、びっくりした記憶がある。そのため、小学校低学年のころの私は、走るのは得意だが体育はちょっぴり苦手で、逆上がりがなかなかできず苦労した記憶がある。
 近年子供の早期教育について、色々な議論がされている。幼稚園児でも、たくさん習い事をしていて、忙しい日々を過ごしている子もいるときく。子供のうちから、過剰な期待や過度の負担をかける必要はなく、のびのびと自然の中で走り廻って歩くのがbestである。しかし、「物事を知らない。やったことがない。経験したことがない」と、苦労することもあるので、金銭的・時間的に余裕があれば何事も経験させてみたほうがいいと思う。
 次回は、昨年、県医師会のテレビドクターの御仕事で大変御世話になった、岡田裕子先生にお願いいたしました。

 
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