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<ペンリレー>

発行日2010/03/10
市立秋田総合病院  小松 眞史
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読書の風景
 
 昨年の12月千葉先生からペンリレーの依頼が来ました。これといった趣味のない私が数年前から秘かに恐れていたことでした。遅筆の私は締め切りを決められると一層筆が進まなくなる悪い癖があるので正式な依頼が来る前に書きあげることにしました。
 私の読書の原風景は小学時代の実家の本棚に並んだ世界児童名作全集(正確な名前は?)で、小公子や小公女、三国志など50数巻ありました。姉や私のために両親が購入したものですが、あまり一生懸命読んだ記憶はありません。読書に親しむようになったのは高校のころからで、とくに試験期間中はよく読んだ記憶があります。大学時代は新宿が活動拠点であったので紀伊國屋書店によく通いました。書店の奥にはブルックボンドという名の英国調の喫茶店がありバタートーストと紅茶が私の定番でした。秋田市に移り住んでから早や30数年が過ぎましたが、行きつけの書店は加賀谷書店の支店、つたや広面店、ジュンク堂などで、加賀谷書店は本の種類が少なく物足りないのですが全国チェーンの大型店に抗して頑張っており、また中3の愚息にはまんが本の立ち読みができる数少ない書店として好まれています。東京では東京駅近くの丸善・丸の内本店に行くことが多く、最上階には小さなギャラリー、万年筆屋、しゃれた文房具店などのほか小さなレストランもあり、黒いハヤシライスがおいしい。
 さて、肝心の読書だがいわゆる乱読で5~6冊同時進行で読むことが多い。好きな作家は宮部みゆき、藤沢周平、浅田次郎、司馬遼太郎などで、購入する本は8割以上が文庫本です。年末から正月にかけ読んだ面白いと思った本を紹介します。「スーパー名医が医療を壊す」作者は神鋼病院の内科医で、医療物のドラマやまんがの評価も織り交ぜながら日本の医療を批評しており、にやにやしたりうなづいたりしながら読んでいる自分に気がつくと思います。「利休にたずねよ」山本兼一の直木賞受賞作で一服のお茶に命をかける利休のすさまじい情念とそれに至った状況を描写した秀作です。「ダウンタウンに時は流れて」世界的な免疫学者の多田富雄先生が8年前の脳梗塞による半身不随の境遇の中で、20歳代のアメリカ留学時代から始まるいわゆる青春の黄金時代を回想したエッセイ集です。「スカーペッタ」パトリシア・コーンウエルの検屍官シリーズの最新号です。初期の「検屍官」や「証拠死体」に比しやや新鮮味に欠けますが、楽しめると思います。
 読んだ本はやがて本棚からあふれ机や出窓にやまずみになり手狭な我が家では始末に困ることになりますが、そう簡単には捨てることはできません。20年ぐらい前、秋田市横町の古くからある某古本屋に段ボール2箱分の本を持ち込んだことがありました。老眼鏡をかけたその風情からもいかにも古本屋の店主が出した2千円なにがしというあまりの低評価にむっとしたことがありました。昨年は広面の「本だらけ」という店に段ボール2箱分を持ち込みなんと1万6千円でした。味をしめ1ヶ月後同量を持ち込みますと8千円でした。あまり恰好はよくありませんが高い評価にこれからも利用しようと考えていましたが、数ヵ月後車で通りかかりますと「店じまい古本すべて100円」の看板があり、その数週間後とうとう閉店となってしまいました。仕入れ価格が高すぎたのではなく、購入するお客さんの数が少なかったためと推測しております。残念!これからは電子書籍に挑戦しようかとも考えております。
 次のペンリレーは市立秋田総合病院の伊藤伸朗先生にお願いしました。


 
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