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<ペンリレー>

発行日2008/10/10
秋田組合総合病院  下斗米孝之
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温泉で一息
 
 両親が温泉好きで、週に何回かは地元周辺の温泉に通っていたせいもあり、昔から温泉に入りながらボーっとしているのが好きで、それは今でも変わらず続いています。とはいえ、源泉かけ流しとか、炭酸泉、硫黄泉とか、逐一データを記録しながら温泉に入っている訳でもなく、その温泉が好きかどうかは、入っている時の湯の感じと雰囲気で何となく決めています。今までに全国を渡り歩いたという事はありませんが、何ヶ所か思い出に残る温泉について書こうと思います。

須川温泉
 秋田、岩手の県境の栗駒山にある温泉で、今年の岩手宮城内陸地震の震源地近くに位置しています。学生時代から行っていますが、以前は道路も整備されておらず、人影もチラホラとしかなく、いかにも秘湯という感じでした。最近では道路も良くなり、また、温泉ブームで色々な雑誌で紹介されたせいか、紅葉の時期には県境の山の上なのに渋滞が発生し、露天風呂では30名程が芋洗いの様に入っていたりと様変わりしてきています。地震の後に一度行ってみたのですが、道路は復旧中で何とか通行可能という状態でした。通行時間制限もありますが、地震の影響もあって人通りが減っていますので、今年の紅葉の時期は穴場になるかもしれません。

国見温泉
 秋田から盛岡に行く時に仙岩峠を越えて山を一下りした所にひっそりと入口の看板があります。入口から入ると、いきなり上りになり、数キロ道なりに行くと温泉にたどり着きます。国見温泉の最大の特徴はやはリエメラルドグリーンの鮮やかな色で、これだけでも訪れる価値があると思います。

夏瀬温泉
 以前から国道46号線沿いを角館から田沢湖へ向けてドライブしていると夏瀬温泉という小さな看板があるのが気になっていました。数年前の秋のこと、看板の矢印の方向へ車一台分の幅しかない砂利道を進んでいくと、古い日帰り温泉に辿り着きました。自分以外には誰も温泉に入ってくる人もおらず、目の前に青緑色の川がゆっくりと流れており、紅葉で赤く染まった葉が散って色のコントラストが鮮やかな温泉でした。以前はひなびた温泉でしたが、最近では改装されて高級宿に変身しており、全く趣を別にした温泉になってしまいました。

青荷温泉
 十和田湖から青森県の黒石に向かう途中にあり、冬は雪のために雪上車で送迎されるランプの宿です。当然、部屋には蛍光灯もなく、薄暗くなってくると宿の方が部屋にランプを持ってきてくれます。電気がないためにテレビなどもなく、静かに過ごせる雰囲気でした。温泉は4か所に分かれており、新・旧、屋内・露天と一通り揃っていました。ランプの明かりしかない非日常を味わいに行ったつもりでしたが、宿との相性が悪かったらしく、持病のアレルギー性鼻炎と結膜炎で涙とくしゃみ、鼻水が止まらない状態で温泉をゆっくりと味わう事が出来なかったのが残念です。

草津温泉
 言わずと知れた東の横綱の草津温泉です。秋田からはなかなか行きにくい場所にありますが、新潟に住んでいた頃に行ってみたことがあります。湯畑の湯量の多さと西の河原露天風呂の広さに驚き、有名なだけあると感動しきりでした。

白骨温泉
 白い骨の温泉とは如何に?ということで、上高地の帰りに一泊してきました。以前に草津温泉ハップの混入問題で大分騒がれた温泉ですが、幸いにも泊まった温泉は源泉かけ流しの所でした。風呂に入ってみるとすぐに白骨の意味がわかりました。温泉の成分が床に堆積して白い骨のような形になっているのです。なるほどと妙に納得した温泉でした。

下呂温泉
 白川郷を一巡りした後に次はどこへ行こうかと地図を眺めていると面白い名前の温泉が目に入ってきました。それが下呂温泉でした。近くまで高速道路もあるし、わりと近そうにみえたので行ってみることにしたのが間違いの始まりでした。束海・北陸地方の地理感がなかったので、実際は秋田一盛岡ぐらいの距離が近くにみえたのです。下呂温泉に着いたのは昼も大分過ぎた頃で、当日宿泊する大牧温泉への船の最終便の時間が近づいていました。30分ぐらいは時間がありそうだったので急いで日帰り温泉を探して行ってみると何と定休日でした。悲しいことに町のあちこちに温泉の源泉があるのを遠目に見ながら、次の目的地へ急いで出発するはめになってしまいました。

大牧温泉
 富山県にある船でしか行けない秘境の一軒宿です。下呂温泉から急いで向かったのですが、結局、最終便の船に乗り遅れてしまいました。どうしようかと思い、宿に電話をかけると迎えに来てくれるとの事で桟橋の所で待っていました。すると、パジェロが駐車場に入ってきて宿の方が声をかけてくれました。船で迎えに来るのかと思いきや、電力会社の私道を通って宿に着きました。宿の方に聞いた話では、急病患者や船に乗り遅れてしまった客のために私道を使わせてもらっているのだそうです。庄川の淡いグリーンの眺めをみながらの温泉は格別でした。翌日は船で帰りましたが、船の上から温泉宿をみて川下りをして、やはり船で来るのが良い所だと実感しました。

有馬温泉
 神戸に初めて行った時に下調べも何もせずに来てしまったため、とりあえず駅のコンビニで地図をみていたら、近くに有馬温泉があることに気づきました。有馬といえば日本三大温泉の一つだなあと思い、すぐに駅員さんに行き方を聞き、電車を二回ほど乗り継いで有馬温泉駅に到着しました。金泉と銀泉の二つの源泉があり、銀泉は普通の温泉とあまり変わりばえありませんでしたが、金泉の方は茶褐色の温泉でさすが日本三大温泉の一つと思わせるものでした。温泉街をブラブラしていた時にタクシー会社のビルの駐車場の中にお好み焼き屋があったので、物珍しさで立ち寄ってみました。70歳を超えたおばあちゃんがやっている店で、お好み焼きを焼きながら色々と話しかけてくれるのですが、早口の方言が全く分からず、こちらはただ頷くだけで何を言っていたのかは未だに謎のままです。

宮古島温泉
 宮古島は十月に入っても朝から28度もあり、夏真っ盛りでした。与那覇前浜などで海水浴をしつつ、サトウキビ畑の中にある農家民宿に泊まった時に、部屋のドアの前にヤモリが2、3匹はりついていて、いきなりびっくりさせられました。民宿の中をウロウロしているとシャワーのみで風呂はありませんでした。そういえば、空港で宮古島温泉の看板があったのを思い出して、カーナビを頼りに行ってみました。一人千円という値段には驚きましたが、島には温泉はここ一箇所しかないので入ってみることに。温泉自体は海が近いせいか、少し色がかかっており、秋田でいうと金浦のはまなすに似ていますが、こちらは島の高台にあるので見晴らしが良かったのが印象的でした。

 まだありますが、これぐらいにしたいと思います。最近はガイドブックも何も見ずにまず現地に行って、それから行き当たりばったりで旅程を決めたりして、そのせいで電車や船に遅れたりすることもありましたが、意外に何とかなるようです。最近は東京都西多摩の蛇の湯温泉たから荘なども行ってみたいと考えています。東京なのに都心から電車とバスを乗り継いで4時間はかかりそうな場所のようです。どなたか行ったことのある方がいらっしゃれば教えて頂きたいと思います。
 
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