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<ペンリレー>

発行日2008/09/10
市立秋田総合病院  円山 啓司
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私と自転車
 
 昔からジョギングが好きで、週末には2~3時間走っていたことも月に3回フルマラソンを完走したこともありました。しかし、5~6年前頃から、走ると直ぐに左ひざが痛くなり、思うように走れなくなりました。これも普段準備運動もせずに急に走り出したり、運動前後にストレッチを行わなかったりしたせいかもしれません。普段から運動前後にしっかりストレッチを行っていればと今になって悔いても仕方がありません。その頃、雑誌で、自転車で160km走る大会があるとの記事を見つけ、フルマラソンに参加できないのなら、これを目指そうと一大決心をして、ロードバイクを購入しました。
 ロードバイクのサドルは硬く、ペダルは固定式です(注:固定しないペダルもありますが、それではペダルを踏む時しか回せません。固定式では踏む時だけでなく、ペダルを引き上げる時も回すことができるので、効率よくペダルを回せます)。自転車用のパンツはちょっと抵抗があって、最初は普通の格好で乗っていましたが、余りにも一般の自転車と違い、サドルが硬く、長時間乗るとお尻が痛くなるので、いつの間にかパッドの入った自転車用のパンツを履いていました。ペダルはスキーのような固定式で、はずすにはちょっとしたテクニックが必要です。初めの頃は、止まる前に足首を外側にひねって、ペダルをはずしてから止まると念じながら走っていました。しかし、急に止まらざるを得ない場合などは、ついついそのことを忘れ、一般の自転車の感覚で、足をついて止まろうとして、「あ!足が外れない!倒れる」がちゃんと何度同じ過ちを繰り返したことでしょう。不思議なもので、慣れてくると、意識をペダルに集中しなくても倒れる事はなくなりました。こうなってくると、欲が出て、もっと遠くまで行ってみたくなり、オーパスまで、協和までと少しずつ走行距離が延び、今では角館辺りまで行くこともあります。
 1年程たって、鳥海山でロードレースがあるのを知り、距離も30kmと短く、普段走っている距離から考えると、大丈夫だと思い、参加の申し込みをしました。よくパンフレットを見ると、このレースは矢島口から鳥海山の蒜川を目指してもくもくと山道を登る日本の3大ヒルクライムレースの一つでした。このレースは参加者が自転車に乗って市内をパレードしてスタート地点に向かいます。そのため、気分良くスタートする事はできますが、その後はスタート前とは別世界で、何処まで行っても上りで、最初から最後まで“ハーハーゼイゼイ”の連続です。また、急峻な上り坂では、転ばないように必死に、ペダルを回しましたが、途中で回せなくなり、何度か休んでしまいました。一度休むと、もう止めようとの思いが強くなりましたが、何とかその思いを振り切って、自転車を坂の上まで押して行き、下り道から再スタートしました。しかし、下り道はすぐに終わり、又つらい上り坂が待っていました。止めよう、いやここまで来たのだから、もう少しがんばろうとの相反する思いが交錯しながら、よたよたとペダルを踏み続けていました。その内、何処からとも無く聞こえてくる拡声器の音が徐々に大きくなってくるのに気づき、あと少しだからと、ペダルを踏み続け、何とか制限時間内にゴールすることができました。ゴールするまでは来年はもうこんな過酷なレースに出るのを止めよう思っていたのですが、ゴール後の何ともいえない爽快感がゴール前のこのような気持ちをもっと早いタイムでゴールできるように、これからがんばろうという気持ちに変えていました。
 この大会はいつも気温が30℃を越える真夏日の開催が多いです。普段から気温が30℃を越える炎天下では運動は控えるように学校の先生方に講義をしているのに、炎天下のロードレースに自分が参加しているのはちょっと気が引けますが、止められず毎回参加しています。勝手ですね。ただ、熱中症で搬送されるわけにはいきませんので、スタート前から水分補給をしっかり行い、自転車にも1.5Lほどのスポーツドリンクを積んで、レースに参加しています。
 今年はペダリングが少し上手になったように感じるので、今年こそは時間短縮できると期待していたのですが、結果はいつもと変わりませんでした。残念!
 このレースが終わると、9月に開催される秋田センチュリーランに向けて、練習を始めます。この大会には40km、80km、160kmの3コースがありますが、私は毎年160kmのコースに参加しています。センチュリーランは自動車規制のない一般道を交通ルールに従い、制限時間内に走るものです。制限時間は40kmで2時間、80kmで4時間、160kmで8時間ですので、どのコースも時速20km以上で走れば、制限時間内に走りきることができます。雄和サイクリングターミナルから大曲の第1チェックポイントまでは、意外と軽快に走れますが、その後は徐々に足は重くなっていきます。そんな時に向かい風や坂道に遭遇すると、両足は悲鳴を上げ、もう止めたらとの悪魔のささやきが何処ともなく聞こえてきます。そこを何とか乗り切り、八沢木トンネルを過ぎると、第2チェックポイントです。その頃には足はパンパンで、完走できないのではとの不安が頭をよぎりますが、第2チェックポイント通過後はそれまでの足の重さがうそのように、軽やかな足取りに回復します。不思議です。エンドルフィンのようなものが出るのかも知れません。しかし、この軽やかな足取りも長続きせず、徐々に足は重くなっていきます。雄和のふるさと温泉の所にあるゴールまで20kmの標識を見ると、気合が入り、再び軽やかな足取りになりますが、その後はいくらゴールに近づいても疲れきった足の回復はもはやなく、重い足を無理やり動かしながら、ペダルを回し、何とかゴールに飛び込みます。
 以前はジョギングをすると、左ひざが痛くなっていましたが、自転車は膝への負担が少ないせいか、ペダルを回している時も乗った後もひざの痛みはありません。時計、速度計、ペダルの回転数、走行距離、心拍数、カロリー等を計測できるハートレートモニターを自転車に装着すると、心拍数を見ながら、自分の体力に応じた運動強度で、自転車に乗ることができます。また、ペダルを回すので、膝に負担がかかるのではとのご心配もいりません。ギヤはフロント2段、リア10段ですので、組み合わせによっては普通の自転車よりも回しやすくなります。ひざを痛めて運動を諦めている先生、ダイエットしたい先生、CO2排出削減に協力したい先生、心拍数をモニターしながら、自分に合った運動強度で自転車に挑戦してみては如何ですか?きっと、楽しいと思います。
 
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