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<ペンリレー>

発行日2007/08/10
石田皮膚科医院  石田晋之介
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開業医になって
 
 9年間の濁協医科大学(栃木県)での生活に別れを告げ、秋田県に帰って早7年が経ちました。その間には、本荘第一、秋田組合、秋田大学にお世話になり、自分なりに診療経験を積み重ねて来たつもりでしたが、開業医となるとそう簡単にはいかないもののようです。昨年4月から秋田大学を辞め、父の皮膚科医院で働いていますが、医院勤めになってから変わったことや気が付いたことを2、3述べたいと思います。 一つは、大学病院や大病院の後ろ盾が無いので患者さんから容易に信頼を得ることが意外に難しいことです。2代目の医師なので患者さんは父が診療していると思って来院することが多く、私を見て驚いた顔をしたり、中には露骨に嫌な顔をする人さえいます。初めは院内に医師交代のアナウンスを表示していましたが、いつまでも貼っておくわけにもいかず、この現象は1年以上経った今でも続いています。よって私のやるべき事は日々患者さんから信頼を勝ち取るべく努力し、優しく、もっと優しく患者さんに接していくしかないらしいと思っています。
 治療についてですが、開業医は早急に結果を出していくことが必要と感じます。2回目に来院して未だ治っておらず、何の策も講じなければ、3回目はもう来院してくれないと思って良いようです。薬を変更するなり、処置方法を変えるなり、何らかの手立てが必要と思います。治療薬も大学に在職中よりやや強めの軟膏や投薬が目立つようになりました。これはあまり誉められたことではないですが、周りに医院が増えたこともあり、直ぐに結果をださないと他の医院へ行ってしまうことが多くなっていますし、また他の医院からこちらへ来院するケースも多いのも事実です。
 大学病院のブランドも無く医院の増えた今日では、他の医院へ鞍替えする患者さんが多いのは、どこの地区でも同じかも知れません。そんな中、自分の診療態度が知らず知らずのうちに温和になっていることに最近になり気付きました。病院勤務のころは忙しいと端折って診察をすることになると、ろくに患者さんと話もせず、直ぐに患者さんの前から姿を消すようになっていたのを思い出します。今は少しでも患者さんにリピーターになってもらおうと言う邪な考えのためもあり診療態度がましに成ったのは棚ぼたです。
 大学で医療面接の試験を担当したことがあります。患者さんと同じ目線で挨拶をし、自己紹介から入るのです。今の診療では、まだまだ医療面接の試験をパスするところまでは遠く及びませんが、できる限り努力をしていきたいと思います。
 この間、来院した患者さんは、札幌在住の人でしたが、「ここの先生しか私を治せません。」と言って帰秋のついででしょうが、来院されました。もちろん、その先生は私のことではないのですが、早くそのくらい信頼されるような開業医になりたいと思う今日この頃です。
 次のバトンは泉皮膚科クリニックの村井博宣先生にお願い致しました。
 
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